マイオブレースは中学生からでも始められるの?(子どもの歯並びと歯科矯正の話3)

更新日:7月4日

「抜歯をしない矯正」はいい響きに聞こえますが、全ての症例が永久歯を抜歯しない方法で矯正治療できるわけではありません。抜歯を行うことが矯正治療をより安全にスムーズに行う上で必要な場合もあります。そのため、子どもの歯科矯正を行う上で「何を根拠に抜歯しないで矯正することに決めたか?」が大事なポイントだと考えます。


またマイオブレース矯正をやってみたいというお問い合わせをいただくことがありますが、マイオブレースの適応症と適応年齢と合わない場合、興味を持っていただいたことに感謝した上で、他の適応した矯正方法をご提案させていただく場合もあります。


今回は歯科矯正の抜歯と、矯正装置の適応症についてお話していきます。


1中学生以降の歯科矯正は抜歯も必要になることがある


中学生以降は、顎の成長は大きく見込めず、そこで無理に歯を抜かない矯正を行ってしまうと、かみ合わせの異常や歯の寿命の短縮にもつながってしまう場合があります。

私自身の考えでは、中学生以降の矯正では年齢や症状によって歯を抜くことは必要と考えています。ただし、無駄な抜歯をすることがないように、検査を十分に行い、抜歯をする理由を見つけ、説明する必要があります。


また小学生高学年でも永久歯生え変わりのスピードが早い、骨格の状態によっては十分な検査を行なった上で、抜歯が必要になる可能性がある場合は説明していくケースもあります。


2矯正治療の前には十分な検査と説明は必要


矯正では虫歯治療や歯周病治療よりも検査の項目が多いです。そのため、検査設備や体制が整わずに虫歯治療と同様の検査のみをおこなって診断してしまうと、見落としてしまうこともあります。

歯科矯正を行うのであれば、歯科矯正のための検査体制が整っているかが大事だと思います。矯正治療の前に検査と説明の時間が設けられているか、お口の中の写真を定期的に撮影しているか、一般のレントゲン写真だけでなく矯正用のレントゲン写真(セファログラム・頭部X線レントゲン写真)設備があるか等です。


「診断できないことは治療もできない」これは私が尊敬するDr.John Flutter先生がおっしゃった言葉です。治療を行う前の診断によって治療の進行に大きく影響すると考えています。



3年齢とステージに合った矯正方法を


小児期の矯正装置だけでも、マイオブレースやプレオルソ、EFライン、ムーシールド、バイオブロック、クアッドヘリックス、バイヘリックス、急速拡大装置、ビムラー装置、バイトジャンピングアプライアンス、上顎牽引装置、床矯正装置などがありますが、これらの装置も適齢期やお口の中の状態によって使用できない場合があります。今回はマイオブレースと床矯正装置、そしてマルチブラケット矯正(ワイヤー矯正)の適齢期と適応症をご紹介します。

①マイオブレースの適齢期は5歳〜12歳頃まで



マイオブレースはあごの成長を正しく成長させるための筋機能を利用した矯正装置です。つまり顎の骨が成長していることが前提となります。そのため、成長がピークを過ぎる中学生以降はマイオブレースの機能が十分に発揮されないことがあります。


適齢期としては乳歯列から可能ですが、お口の中にしっかり入れられる5歳頃から乳歯が脱落して永久歯が生えそろう12歳頃までだと考えます。


マイオブレースで難しい症例としては、骨格が原因の咬み合わせ異常や子どもがマイオブレースを入れることを嫌がる場合です。


②床矯正の適齢期は10〜12歳まで



床矯正装置はネジを回して強制的に歯列や歯の周りの骨を拡大していく装置です。子どもでも装置の付け外しは可能であることとゆっくりと拡大する装置のため、矯正治療を主に行なっていない歯科医院でも導入されていることが多いです。



上顎は10〜12歳までに使用すると正中口蓋縫合とよばれる部分を開くことで顎も一緒に拡大することが期待できますが、下顎は下顎正中縫合が1歳までに閉じてくっついてしまっているため、歯と歯の周りの骨を押し倒して傾けさせるのみとなります。


床矯正装置は軽度の歯列不正には適切な診断を行なって使用すれば矯正装置の選択肢の1つだと考えられます。ただし、歯並びが大きく重なっている状態や開咬など重度の歯列不正や複雑な症例では適応外となります。


また床矯正装置だけで矯正治療を完結させるケースは限られているため、成人矯正のマルチブラケット装置などと組み合わせることが多いです。


③マルチブラケット矯正の適齢期は中学生以降



マルチブラケット矯正(ワイヤーを使った矯正、舌側矯正も含む)は永久歯が生えそろった後12〜13歳以降が適齢期となります。



まとめ


①中学生以上の矯正治療には抜歯が必要な場合もあります。無理に抜歯しないで治療をすることで悪くなることもあります。


②歯科矯正治療では十分な検査と説明が必要です。検査設備が整っているかを確認してください。


③矯正装置1つ1つは万能ではありません。装置にあった年齢、症状などがあります。向いていない時期や症例の装置は治療期間が長くなるだけでなく、歯や顎への負担が大きくなります。



この記事を書いた人



医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


当院では、中学生未満のお子様を対象にしたマイオブレース治療を中心とした矯正方法を提案しております。ただし、検査を行った上で成人向けのブラケット矯正等が適応と判断する場合もあります。それは患者さんにできるだけ適した方法で早期に矯正治療を進行していただきたいという思いがあるからです。年齢に関わらず、お子様の歯並びが気になる親御様はぜひご相談ください。


参考文献


①高野真. 「経過」と「変化」. ヒョーロン・パブリッシャーズ 2015


②益子正範. 下顎後退位症候群におけるT4K TRAINERの応用. 小児歯科臨床 2009; 14(4):45-58.


③金尾晃. 下顎後退位症候群における機能的矯正装置の応用-TRAINER SYSTEM®の活用. 小児歯科臨床 2007; 12(9):45-62.

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