口臭はマウスウォッシュで解決するの?舌との意外な関係とは?(予防歯科・歯周病の話)

更新日:7月17日

皆さんスメルハラスメントという言葉ご存知ですか?スメルハラスメントとは臭いで周りの人達を不快にさせる嫌がらせのことで「スメハラ」ともよばれています。


口腔ケア商品開発のサンスターさんが2019年発表したクラブサンスター会員へのアンケート調査ではパートナー・配偶者の気になる臭いで男女共に口臭が1位で、男性の臭いでは口臭が他の臭いを大きく抑えて79.4%という結果でした。


口臭は自分自身では慣れてしまってわからない場合が多く、周りの人から指摘される、周りの態度や表情から気づくことがありますが、口臭がないにも関わらず、周りの仕草に過敏に反応してしまい「私の口臭いのかな‥」と思い込んで悩んでしまうケースもあります。


今回は口臭について詳しくお話しします。



1口臭には種類がある


口臭は「口臭症」という病名で国際分類では真性口臭症と仮性口臭症、口臭恐怖症に大きく分けられます、真性口臭症はさらに生理的口臭症と病的口臭に分けられます。


口臭症の国際分類です。この表にはニンニクやニラなどの食物による外部的な口臭は含まれていません。
口臭症の種類 ここには食べ物による口臭は含まれていません

①生理的口臭


起床時や空腹時、緊張している時に感じる口臭です。その他には女性の生理時口臭や加齢による老人性口臭があります。ニンニクなどの飲食物やタバコなど一時的な口臭は含まれていません。


例えば起床時の口臭は寝ている時に唾液の分泌が少なくなるため、お口の中の細菌が増えてしまうために臭いが強くなります。


一般的に口臭は食事やブラッシングの時は臭いが低くなります。食事をするとかむ、舌が動くことで唾液が出やすくなり、食べかすを洗い流してお口の残るのを防ぐ浄化作用が働きます。ブラッシング時は唾液が出やすくなるだけでなく細菌の集合体であるプラークも除去します。しかしブラッシングが不十分で食べかすを残すと口臭が強くなる場合があります。


②病的口臭


歯周病や糖尿病、肝臓や腎臓の機能の低下、副鼻腔炎などの全身的な病気が原因の口臭です


③仮性口臭症


本人が「口の臭いがあるのではないか」と悩んでいるが、社会的限度をこえる口臭が認められない状態です。歯科医院での口臭検査をおすすめします。



2口臭物質とその対策


口臭の原因は700種類の口腔細菌の代謝物です。

歯や舌に付着しているプラークや舌苔(舌の上の沈着物)の中にいる細菌がお口の中に残った食べ物や、古くなってはがれた粘膜のタンパク質を分解して出たガスが臭いの原因物質です。


臭いの原因物質はVSC(Volatile Sulfur Compounds=揮発性硫黄化合物)とよばれ、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドの3種類です。


①硫化水素(卵が腐ったような臭い)


生理的口臭でよく見られる口臭物質です。

臭いの特徴としては卵が腐ったような臭いがします。


生理的口臭を解決するキーワードは「唾液」と「プラークと舌苔」です。


東京都内の学校に通う高校3年生474名を対象に行った研究では、口臭が検出された学生は全体の39.6%で、「朝食を食べていないこと」「多量のプラークが付着」「舌苔の付着」が口臭と関連していることが結果としてわかりました。


舌苔とよばれる、細菌と粘膜の剥離部分、白血球と食渣の集合体です。
舌苔(ぜったい) 舌の上部が黄色くなっています

舌苔(ぜったい)とは舌の上に付着する灰色がかった白色、茶色のコケのようなもので、細菌と粘膜のはがれた部分、白血球、食べカスの混合物です。6歳以上の健康な人でも薄くみられることがありますが、唾液分泌の減少や脱水が原因で厚くなります。


この舌苔は細菌のゆりかごともよばれており、様々な細菌の安息の場となっています。

また歯ブラシをしても舌のお掃除はしていなかったという方も多いのではないでしょうか。そのくらい舌のプラークコントロールは盲点だと考えられます。


舌ブラシは舌苔を取り除くことができます。その際歯ブラシと異なり、舌を傷つけるリスクはすくないと考えられます。
舌ブラシ 舌苔をやさしく取り除きます

舌磨きの際は、舌専用のブラシを購入していただくことをおすすめします。歯ブラシなどで行うと、舌はとてもデリケートなので圧が強く毛先が硬い場合、傷つけてしまうことがあります。また舌磨きにはそれぞれ使用方法が添付されていることが多いので、使用方法に従い正しく使ってください。


また舌磨きを行うと口臭予防だけでなく、本来の味覚を取りもどすことできる可能性があります。食べ物の味は主に舌の味蕾(みらい)という部分で感じ取ります。しかし舌苔が厚く付着すると味蕾の部分を覆ってしまい、味が感じにくくなり、味が濃いものを求めがちになってしまう傾向があります。舌苔を除去することで味覚を回復させることができます。きれいな舌は食べ物を美味しく食べる秘訣かもしれません。


正しいブラッシングと舌みがきでお口の中の細菌を少なくすることと食事を良くかんで唾液をしっかり出すことが必要です。


②メチルメルカプタン


メチルメルカプタンという物質は、野菜が腐ったような臭いを発生する、硫化水素よりも強い臭気を出す物質です。メチルメルカプタンは毒物及び劇物取締法では毒物指定されており、毒性は青酸ガスに匹敵するといわれています。


歯周病菌はこのメチルメルカプタンを発生させます。歯周病菌が粘膜のタンパク質を分解しメチルメルカプタンを発生させ、それが唾液に溶けます、それによって吐いた息に臭気が含まれるという過程で口臭を発生させます。


歯周病が原因の口臭が大変なのは、口臭が一時的なものでなく、常に発生し続けていること、毒性があるので歯ぐきだけでなく人体にも悪い影響が出る恐れがあること、メチルメルカプタンが歯周ポケット内部の治癒を邪魔することです。

そのためこの口臭を改善させるためには、普段のブラッシングだけでなく、歯科医院での歯周治療が不可欠となります。


③ジメチルサルファイド


全身の病気に由来する生ゴミのような臭いがする口臭物質です。



3マウスウォッシュ(洗口剤)は口臭に効くの?


マウスウォッシュ単独では、プラークや舌苔はバイオフィルムとよばれる細菌の集合体でバリアをはって、強固にくっついているため、洗い流すこともできませんし、抗菌作用で破壊することも難しいです。


つまり、ブラッシングと舌ブラシで物理的にバイオフィルムを除去した後に補助としてマウスウォッシュを使う必要があります。しかし、1回だけでは抗菌効果は期待できないため、アレルギーや副作用に配慮して自分にあったマウスウォッシュを長期的に使用することをお勧めします。


またマウスウォッシュにはミントやハーブなどの強い香りで口臭を覆い隠す「マスキング効果」を狙った成分が入った商品がありますが、口臭が消えたような錯覚になるだけで、実際口臭が消えているわけではありません。


亜塩素酸ナトリウム(二酸化塩素)は米国食品医薬品局(FDA)が抗菌剤として承認している無害な物質で、口臭の臭い成分を酸化して消臭する働きがあります。

口臭の消臭力の即効性と1週間の継続使用によって起床時の口臭が抑えられたことが研究で報告されています。


また乳酸亜鉛や塩化亜鉛の亜鉛は毒性が低く歯の着色の原因になりにくいだけでなく、

口臭物質の硫黄と反応して消臭効果を発揮します。


もし今後マウスウォッシュを購入する際には、成分を見て決めるのが良いかと思います。



まとめ


①口臭には生理的口臭と病的口臭、社会的限度レベルの口臭がないのに口臭があると悩んでしまう仮性口臭症、口臭恐怖症がある。


②生理的口臭の解決にはブラッシングと舌みがき、よくかんで唾液を出すことが必要


③歯周病が原因の口臭は臭いが強く、毒性もあるので、ブラッシングだけでなく歯科医院での歯周治療も大事


④マウスウォッシュは単独ではなく、ブラッシングと併用することが効果的。成分を見て自分にあったものを決めよう。



この記事を書いた人


菊川市の歯医者、かわべしげつぐです。矯正と予防歯科、むし歯治療、歯周病治療を行っております。

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


舌ブラシを使用した後は水でしっかり洗い乾燥させて保管してください。舌ブラシも長期間使用すると細菌で汚れてしまうため交換が必要ですので1ヶ月以内には新しい舌ブラシに交換してください。



参考文献


①Club Sunstar. 9割以上が…?!アンケートでわかった無意識"スメハラ"の真実.2019 .https://www.club-sunstar.jp/article/column/oral/2265/


②宮崎秀夫.口臭症分類の試みとその治療必要性. 新潟歯誌;29: 11-15, 1999.


③Sayaka Yokoyama, Mari Ohnuki, Kayoko Shinada, Masayuki Ueno, Fredrick Allan Clive Wright, Yoko Kawaguchi. Oral Malodor and Related Factors in Japanese Senior High School Students.J Sch Health; 80(7): 346-52. 2010.


④Kayoko Shinada, Masayuki Ueno, Chisato Konishi, Sachiko Takehara, Sayaka Yokoyama, Yoko Kawaguchi. A randomized double blind crossover placebo-controlled clonical trial to assess the sffects of a mouthwash containing chlorine dioxide on oral malodor.Published online. 2008.









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