手でみがく歯ブラシと電動歯ブラシどちらが優秀なの?

更新日:6月23日

はじめに


皆さんが家で使用する歯ブラシは手でみがくタイプですか?それとも電動歯ブラシですか?

私は色々な歯ブラシを試したいのでどちらも使っています。


今回は電動歯ブラシのお話です。電動歯ブラシを使ったことない方に電動歯ブラシの魅力を知っていただき、持っている方にも新しい気付きを提供できれば幸いです。



1電動歯ブラシのメリットとデメリット


電動歯ブラシはブラシ自体が高速で運動しているので、歯ブラシを表面に当てるだけでプラークを除去することが可能です。毛先を歯の面に当てるだけの簡単な操作のため、体が不自由な人、手用の歯ブラシを上手に動かすことのできない人、成人矯正中で歯ブラシ操作が難しい方には適しています。


現在では歯ブラシの先が、柔らかいブラシやワンタフトブラシ(シングルブラシ)に交換できるものもあります。

大人用だけでなく0歳から使用可能な電動歯ブラシや、子供向けのタブレット連動型の電動歯ブラシも販売されています。


電動歯ブラシの毛先は消耗品なので、替えブラシの交換が必要になります。手用歯ブラシは1ヶ月(クラプロックス等は3ヶ月)、電動歯ブラシは3ヶ月で交換ですが、歯ブラシの圧が強いなどの理由で毛先が開いてしまった場合には交換時期が早くなります。

毛先が開いた歯ブラシを使用し続けると清掃能力が落ちてしまうため、早めに新しい替えブラシに交換する必要があります。


この替えブラシの値段が手用歯ブラシと比較してやや高価で、また薬局や家電量販店でも本体はあっても替えブラシは置いてあることが少なく、取り寄せまたはネット注文するケースが多いため、このタイミングで電動歯ブラシをやめてしまう方もいます。

電動歯ブラシの替えブラシはストックしておくか、交換する日を手帳やスマートフォンに記録しておくのが長く続けていくコツです。


2電動歯ブラシはブラシの動き方で3種類。それぞれ動かし方に違いがあります。


① 高速振動型


ヘッドの植毛部が高速で動くタイプです。動き方には回転と上下振動、左右振動があります。このタイプの歯ブラシは手用ブラシと似た動かし方が必要です。


回転運動するブラシの外側は運動が大きいため清掃性は高いのですが、中央部は運動が少ないので比較的清掃性は低くなります。

そのため歯の根元の部分や歯と歯の間の部分にそって少しずつずらしながら使用していきます。また回転運動型のブラシの形は円形でブラシの毛の長さが短めなので歯の曲線面に当てやすいのは長所です。


前後または左右に揺れるタイプの電動歯ブラシは、揺れと同じ方向で歯ブラシを動かしてしまうと、清掃効率は下がってしまいます。そのため、揺れの方向から垂直に少しずつ動かすとよりこのタイプの特長を活かせます。


② 音波型


歯科でも取り扱われる種類が比較的多いのが音波型です。

音波型はヘッド部分が振動することで毛が1〜2ミリの細かい運動をします。

この細かい振動でプラークを除去します。音波の振動でブラシの毛が接していない数ミリ先の周辺部の汚れも落とすことができます。振動の幅が極めて小さいため、歯面に優しく当たることが特長です。

この音波ブラシの動かし方は1歯1歯ずつみがくのではなく、毛先を表面に軽く当てたまま流れる様にゆっくりと歯列に沿って動かすことで、歯と歯の間の部分や、歯の根元の部分まで振動が届きやすくなります。

歯周病の外科手術翌日に音波式電動歯ブラシと、洗口液を併用することで初期の治療部位の治りが促進されたという研究結果もあるため、音波型はデリケートな部位でも使用して問題ないと考えられます。


歯磨き粉を使用する際は、歯磨き粉の粘りが強いと清掃効果が低下するので、ジェルタイプの歯磨き粉をおすすめします。


③ 超音波型


超音波型は音波型よりも振動が細かいため、振動を感じることが少ないです。そのため超音波型の場合、そのまま置くだけではプラークの除去が難しいため手用歯ブラシと同じ動きが必要になります。

細かい振動と高い周波数でプラークを除去することを補助してくれますが、歯科専売品ではあまり見かけることはありません。



3充電式と電池式では性能に差がある


① 充電式


充電式の場合、振動の強さ設定やブラッシング圧が強すぎた時のセンサーや停止機能、タイマー機能、Bluetoothと連動しスマートフォンやタブレットでブラッシングをサポートしてくれる機能など、電池式と比べると値段は高いですが、電動歯ブラシ初心者の方でも安心して使用できる環境が整っています。

また柔らかい歯ブラシやワンタフトブラシ(小さい歯ブラシ)の付け替えができるものもあり、ご自身のお口の中の状態や用途に応じてカスタマイズできるのも利点です。

② 電池式


電池式の場合は、振動の設定機能などはなく。スイッチを入れると振動するだけのシンプルなものが多いです。安全機能などもついていないため、力が入りすぎて歯肉を傷つけたりしないように注意が必要です。安価ですが電池式は歯科医院では取り扱いはほとんどなく、ドラッグストアや家電量販店、インターネットでの販売が多いです。



4手でみがく歯ブラシと電動歯ブラシどちらが優秀なの?


では手用歯ブラシと電動歯ブラシどちらが優れているのでしょうか?

まずは論文から引用してお話していきます。


比較した研究では「手用歯ブラシ(フッ化物いり歯磨き粉)の人たちと電動歯ブラシ(抗菌成分とフッ化物入り歯磨き粉)の人たちを比較して3年間観察した結果汚れ、歯肉炎や歯周病などの数値に両方で大きな差異がなかった。」と報告があります。


一方で、電動歯ブラシを長期的に観察した、「2819人の一般市民へ3つの時期(調査開始時期、6年後、11年後)に歯科的な検査と聞き取り調査を行った結果、電動歯ブラシを使用した患者では歯周病の進行に関する数値やむし歯の進行が少なく、歯の喪失も少ない」という研究もありますが、お口に対する意識が元々高い方が電動歯ブラシ使用者に多いという報告もあり、電動歯ブラシの直接的な効果かは、はっきりとわからないです。


この論文の結果からは手用歯ブラシと電動歯ブラシのどちらが優れているかはまだはっきりとわからないです。電動歯ブラシにも種類があり、機能面が良いものもあれば悪いものもあります。今後同じ機種の歯ブラシで同じ使用方法を指導し長期間行った研究を期待します。


次は機能面からみてみましょう。

手用歯ブラシと電動歯ブラシは、使用法は異なりますが、歯の溝の部分や歯と歯の間、歯の根元部分などがみがき残しがないように注意することは一緒です。


電動歯ブラシを選択する決め手は「歯をみがく時に手を極力動かすことがなく効率的に安全にプラークを除去できるか?」だと考えられます。そのため振動が少なすぎて手でみがく動きが必要なものや、振動があっても安全機能のない歯ブラシは手用歯ブラシよりも購入するメリットがあるとはいえません。電動ブラシに変える場合にはある程度高価で、電動歯ブラシの実績があるまたは有名歯ブラシメーカーの商品が良いでしょう。



まとめ


① 電動歯ブラシには振動型・音波型・超音波型がある。歯科医院では振動型と音波型が多い。


② 電動歯ブラシは充電式と電池式がある。電池式は安価だが、機能面や使いやすさを考えると充電式。


③ 機能や安全機能のない安い電動歯ブラシを買うくらいであれば手用歯ブラシをおすすめします。


電動歯ブラシを長く安心して使っていただくためにも、歯科医院に使用している電動歯ブラシを持っていき、使い方が正しいかを歯科医師や歯科衛生士にチェックしていただくことをおすすめします。

この記事を書いた人



医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


私自身手用歯ブラシと電動歯ブラシをどちらも使用していますが、2年おきに新しい電動歯ブラシを購入する度に「進化しているな」と実感します。10年前であれば手用歯ブラシの方が良いと言っていた私も、最近では正しい使い方を覚えていただければ電動歯ブラシは今後の患者さんのお口の中を守る心強いツールだと説明しています。



参考文献


①Ziad Sijari:Effect of two post-surgical cleansing protocols on early periodontal wound healing and cytokine levels following osseous resective surgery:A randomized controlled study.International Journal of Dental Hygiene,17(4):300-308,2019.


②Anna Bogren:Long-term effect of the combined use of powered toothbrush and triclosan dentifrice in periodontal maintenance patients.J Clin Periodontol,35(2),2007.


③Vinay Pitchika:Long-term impact of powered toothbrush on oral healt:11-year cohort study.Journal of Clinical Periodontology,46(7):713-722,2019.


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