なぜ砂糖の代わりに人工甘味料が使用されるの?むし歯への影響は?安全性の問題は?(人工甘味料のお話後編)

前編をまだ読んでいない方はhttps://www.kawabeshika.com/post/artificalsweetenerpart1も読んでいただけると幸いです。


前回ゼロカロリー飲料にはどのような成分が入っているのか?人工甘味料の種類についてお話ししました。今回は人工甘味料が砂糖の代わりに使用される理由と、安全性への影響についてお話ししていきます。


4なぜ砂糖の代わりに人工甘味料が使用されるの?


人工甘味料は、「砂糖と違う構造」「天然の甘味料と比較して甘さが非常に高い」ことから、カロリーを抑えることができる、血糖値の上昇を抑えることができる、むし歯の原因にならない・なりにくいことが理由として挙げられます。


砂糖はグルコースとフルクトースからできており、むし歯原因菌はこのスクロースを代謝して酸と不溶性グルカンを作り、プラークとなって歯の表面を溶かします
砂糖(スクロース)の構造式

アスパルテームはアミノ酸由来の人工甘味料です。構造上むし歯原因菌に代謝されず、むし歯になりにくいです。
アスパルテームの構造式

①カロリーを抑えることができる


例えば砂糖1gあたりのカロリーは4kcal、アスパルテームも同じ1gで4kcalです。(スクラロースやアセスルファムKは0kcalです)


しかし甘味度がアスパルテームの場合砂糖の200倍あるため、甘味を出すために砂糖50g(200kcal)使用する必要のある飲料が、アスパルテームであれば0.25g(1kcal)でできます。(これは砂糖全部がアスパルテームという単純計算のため実際は複雑です)


飲料の場合100mlあたり5kcal未満はカロリーゼロ、ノンカロリー、カロリーフリーと記載することができますので、合成甘味料を使用すると0カロリー飲料を作ることが可能です。


②血糖値の上昇を抑えることができる


ブドウ糖投与時は血糖値やインスリン値の上昇がみられたが、合成甘味料の投与では血糖値、インスリン値などに変化が認められなかったことから、合成甘味料は血糖値やインスリン値に直接の効果がないことが確認されています。


合成甘味料は砂糖の代替甘味料として肥満や糖尿病の予防や治療を考える上では食事全体のカロリーや栄養バランスを考慮した上で上手に活用することが大事と結論づけられています。


③むし歯の原因にならない・なりにくい


アスパルテームはたんぱく質の成分であるアミノ酸からできているため、むし歯原因菌が酸やプラークの成分をつくることができず、むし歯の原因になりにくいです。


アセスルファムKやスクラロースもむし歯原因菌に代謝や分解されることがないためむし歯の原因にならないことが報告されています。



5合成甘味料は安全性に問題はないの?


トクホとして国が認可している、カロリーが少ない、血糖値も上がりにくい、むし歯にならないとメリットが多く、魔法のような甘味料に聞こえますが、危険性はないのでしょうか?


結論としては、不明な部分が多いため積極的に摂取することは控えたほうが良いと考えられます。その理由としていくつかの論文をまとめてみました。


①太ってしまうリスク


「低カロリー甘味料を日常的に飲食している人は体重増加、体脂肪率、肥満の発生率や心疾患系のリスクが高く、2型糖尿病やメタボリックシンドローム、非アルコール性肝疾患と関連している。」


「人工甘味料は甘みのあとに血糖上昇が起こらないため、食べ過ぎ、エネルギーの過剰摂取などでむしろ太りやすくなる可能性が報告されている。」


②味覚の麻痺


「味覚を感知する舌の味蕾(みらい)とよばれる甘味や塩味、酸味や苦味を感じるセンサーの機能が鈍くなってしまい、体が満足感を得られない。」


「人工甘味料の強い甘みに対する慣れが甘みに対する感覚麻痺をもたらし、より甘みに関連した糖質を多く摂取する可能性もある。」


③依存や中毒になるリスク


「甘いものを食べると舌が感じ取り、その情報が脳に伝わってエンドルフィンやセロトニンという快楽ホルモンを分泌する。一時的であればストレスの解消に役立つが、強い欲求が続くともっと食べたい・もっと飲みたいと分泌をコントロールできなくなり依存や中毒になってしまう。」


④腸内細菌叢の糖代謝異常


「人工甘味料は腸内細菌叢や味覚を介して糖の代謝に影響を与える可能性が明らかとなりつつある。更なる人での検証が必要である。」


人工甘味料を否定するつもりはありません、しかし、安全性についてわからない部分が多いため、ダイエット目的や血糖値で毎日0カロリー飲料を毎日飲み続けたりすることは避けたほうが良いと考えます。



まとめ


①人工甘味料は化学合成によってつくられた食品衛生法に基づく指定添加物である


②合成甘味料にはアスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、ネオテーム、アドバンテームがある。


③人工甘味料は「カロリーを抑えることができる」「血糖値の上昇を抑えることができる」「むし歯の原因にならない・なりにくい」という理由で砂糖の代替甘味料として使用されている。


④人工甘味料は安全性においてまだ不明な点が多いため、積極的な摂取は控える方が良いと考えられる。



この記事を書いた人


静岡県菊川市のかわべ歯科院長兼理事長で歯科医師の川邉滋次です。

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


これは豆知識ですが、ゼロカロリー飲料を糖度計(ブリックス法)で測定すると、糖度が約2〜3と低く出ることが多いです。(砂糖が入った炭酸飲料は約5〜15)その理由としてブリックス法は砂糖などの内容物の密度を光の屈折率で測定するため、甘さは一緒なのに人工甘味料の入っている量が砂糖と比べて非常に少ないため糖度が低くなります。



参考文献

①Allison C Sylvetsky. Metabolic effects of low-calorie sweeteners: a brief review. Obesity 2018:https://doi.org/10.1002/oby.22252


②Steinert RE et al. Effects of carbohydrate sugars and artificial sweeteners on appetite and the secretion of gastroin- testinal satiety peptides. Br J Nutr 105(2011): 1320-1328

③Suez, J et al. Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota, Nature 2014; 514: 181-186.


Sharon P.G.Fowler.Low-calorie sweetener use and energy balance: Results from experimental studies in animals, and large-scale prospective studies in humans. Physiol Behav 2016; 164(Pt B): 517-523.


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