歯の本数が多い場合は放っておいてもいいの?歯並びや咬み合わせに影響するの?

前回は歯の先天性欠如という歯の本数が少ない状態についてお話ししました。

この反対で歯の数が多く存在することもあります。

今回は歯の本数が多い症状についてお話ししていきます。



1歯の本数が多い「過剰歯」ってどんな症状?


人間の歯は歯の種類と数が決まっていますが、永久歯の数28本より多く存在する歯のことを過剰歯(かじょうし)とよびます。

なぜ多く作られてしまったのかについてはまだ不明です。特に上あごの中心部分に出現することが多く、「正中過剰歯」や「正中歯」といいます。


ヒトの歯は歯の種類と数が決まっていますが、定数以上に存在する歯のことを過剰歯(かじょうし)とよびます。 なぜ多く作られてしまったのかについてはまだ不明です。特に上あごの中心部分に出現することが多く、「正中過剰歯」や「正中歯」といいます。
正中過剰歯(上あごの中心部分)



2過剰歯はどのくらいの割合で発生するの?


過剰歯の発生頻度は約3%と考えられます。女児よりも男児の方が過剰歯の率は高いという報告があります。本数では過剰歯1歯が約70%、2歯が約30%、3歯以上はまれとのことです。


過剰歯の形は正常な歯に近いものから、細く小さい物まで様々です。中には円錐型をした過剰歯もあるため、歯の形に近いとは限りません。



3過剰歯は自然に生えてくるの?


過剰歯は生えてくるものと、あごの骨の中で埋もれているものがあります。

歯ぐきから見えてきた場合は早期に抜歯をすることが望ましいとされます。


あごの骨に埋まっている場合、「歯の頭の部分がどの方向を向いているか」が自然に生えてくる判別となります。


過剰歯の頭の部分が他の正常な歯と同じ向きであると「順生過剰歯」とよびます。
順生歯(生える方向に向いている)

生える方向と遠ざかる向きの過剰歯を逆生過剰歯といいます。
逆生歯(生える方向と逆に向いている)

過剰歯の頭の部分が他の正常な歯と同じ向きであると「順生過剰歯」とよび、

逆に遠ざかる向きならば「逆生過剰歯」といいます。逆生の場合、自然に生えることは期待できないため、口腔外科で早めにあごの骨から取り出すことが多くなります。



4過剰歯は出てこなければ問題ないの?


ではあごの中に過剰歯が埋まっていれば安心なのでしょうか?答えはNOです。あごの中に埋まったままの過剰歯は以下のような悪影響を及ぼすことがあります。


①本来の永久歯の進行方向に存在すると生えることを妨害してしまう。


②過剰歯が歯を傾け、押すことで、歯並びが悪くなり不正咬合の原因になる。


③歯と歯の間に存在すると、すき間ができることがある。


④歯の一部を吸収して溶かしてしまうことがある。(割れやすくなる)


⑤鼻の方向に過剰歯が移動し、鼻の中に生えてきたケースもある。


⑤歯の周りからふくらんでしまうことがある。細菌感染を起こすことがある。



埋まった過剰歯は含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)とよばれる、埋まっている歯を巻き込んで大きくなっていく、袋の形をした病変を起こすことがあります。  小学生〜中学生の年齢で比較的多く見られますが高齢者でも見られることがあります。  自覚症状がなくレントゲン写真を撮影して発見されるケースが多いです。 痛みが起こることはあまりなく、あごの骨を溶かしてゆっくりと大きくなっていきます。  この病変は細菌感染を起こすことがあり、腫れる場合があります。
含歯性嚢胞(親知らず)

埋まった過剰歯は含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)とよばれる、埋まっている歯を巻き込んで大きくなっていく、袋の形をした病変を起こすことがあります。


小学生〜中学生の年齢で比較的多く見られますが高齢者でも見られることがあります。


自覚症状がなくレントゲン写真を撮影して発見されるケースが多いです。

痛みが起こることはあまりなく、あごの骨を溶かしてゆっくりと大きくなっていきます。


この病変は細菌感染を起こすことがあり、腫れる場合があります。



5過剰歯があるか、影響が出ていないかを診てもらうためにはどうすればいいの?


過剰歯の存在の有無に関しては通常のパノラマレントゲンで撮影すると確認できる場合があります。


正確な方向や、他の歯に影響を与えているかを調べるためには歯科用C Tでの撮影が必要になります。過剰歯があった場合はCT撮影または口腔外科の先生への相談をお勧めします。



正確な方向や、他の歯に影響を与えているかを調べるためには歯科用C Tでの撮影が必要になります。過剰歯があった場合はCT撮影または口腔外科の先生への相談をお勧めします。
CTレントゲン撮影像(前歯の裏側に過剰歯)


まとめ


①本来の数よりも存在する歯のことを過剰歯という


②過剰歯の発生頻度は約3%


③過剰歯は生えてくるものとあごの骨の中に埋まり続けるものがある


④あごの骨の中に埋まっている過剰歯が悪影響を起こす場合がある


⑤過剰歯の方向等を詳しく調べるには歯科用CTが必要


この記事を書いた人


静岡県菊川市のかわべ歯科院長兼理事長で歯科医師の川邉滋次です。

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


過剰歯を取り除いた後、残った永久歯の位置を戻すために歯科矯正が必要な場合があります。



参考文献


①辻野啓一郎, 新谷誠康: 小児の歯数異常・萌出異常への対応. 歯科学報, 114(5): 425-427, 2014.


②宮島美樹, 櫻井敦朗ほか: 当科通院患者における上顎正中過剰歯の発生率と永久歯列への影響度に関する検討. 小児歯誌. 52(2): 347. 2014.


③辻野啓一郎,倉持真理子ほか: 高崎総合医療センター歯科口腔外科開設からの上顎正中過剰埋伏歯に関する臨床的検討. 群馬県歯科医会誌. 18:33-38. 2014.

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