top of page

歯並び・かみ合わせの異常が引き起こす問題とは?

更新日:2023年10月6日

はじめに


歯並びやかみ合わせが悪いと、歯磨きが難しくなり、歯や歯ぐきを清潔に保つことも難しくなります。また、食事や発音といった口の機能を十分に果たせないだけでなく、顔の印象にも良くない影響を及ぼすことがあります。


歯科での矯正治療は、口の健康や機能の回復させるほか、調和のとれた顔立ちを目指すことで、全身の健康や豊かな人生をサポートする役割も果たします。


歯や口の機能に障害が出る原因の1つとして、不正咬合(歯並びやかみ合わせの異常)が考えられます。不正咬合は、むし歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、怪我や歯の根の変形、根の一部消失するなどの問題も引き起こしやすくなると言われています。


例えば、凹凸の激しい歯並び(叢生)では、歯磨きが非常にしにくいため、食べかすが歯に残りやすく、細菌が繁殖してプラークになります。さらに進行するとカルシウム成分が沈着して歯石となります。


つまり、凹凸の強い歯並びは、プラークの除去がうまくいかないためにむし歯になりやすく、また、歯石が沈着して歯肉炎をはじめとする歯周病にかかりやすくなります。


歯科矯正治療によって歯並びの凹凸が解消されると、歯磨きがしやすくなり、短時間でより効率的に食べかすの除去が可能です。


ここではむし歯や歯周病以外の、歯並びやかみ合わせの異常で発生する悪影響についてまとめてみました。


目次▼


 

ケガや歯の根の異常を引き起こす


上の前歯が前に突出している歯は、転倒やスポーツなどで顔を強く打ったりすると 唇やほほを傷つける原因となるばかりでなく、歯や歯を支える骨にヒビが入ったり、割れてしまうことがあります。


あごの関節に影響する


歯並びやかみ合わせが悪いと、歯をかみ合わせた時に、歯全体がしっかりかみ合う前に、特定の歯だけ最初に当たってしまうことがあります。これを早期接触と言います。


歯の早期接触があると、歯と顎のバランスが崩れてしまうために、顎関節症の症状が引き起こされる可能性があります。顎関節症とは「あごが痛む」「口が開かない」「顎を動かすと音がする」等の症状があります。


顎関節症の症状

正常な顎関節と顎関節症の違い
正常な顎関節と顎関節症の違い

歯がちょうど正しい位置でかみ合っていないと、あごの周りの部分に影響が出ます。顔の筋肉が不自然に動いたり、あごの関節がバランスを保つのが難しくなったりします。その結果、顎関節や周囲の組織に負担がかかり、痛みや違和感が出ることがあります。


食事に障害が発生する(かみ合わせの異常)


歯は前歯でかみきり、奥歯で砕いてすりつぶすなどそれぞれの歯には役割があります。このような歯の担う役割が効率的に行われると唾液が良く出るため、唾液の消化酵素が活躍します。しかし、以下の図のような歯並びの異常や不正咬合では食べ物がうまくかめなくなる場合があります


食事がしづらい歯並び
食事がしづらい歯並び

発音に影響する


歯並びやかみ合わせは、発音においても大切な働きをしています。不正咬合は

発音に様々な影響を及ぼします。


口周りの筋肉への影響


不正咬合は舌を含めた口腔周囲筋と呼ばれるお口周りの筋肉の機能に異常をもたらすことがあります。出っ歯では唇を閉じるのが難しいため、下あごの皮膚を上方に引き上げて唇を閉じようと顎に梅干しの種のようなブツブツが表出します。


開咬でも飲み込み時に舌が上下の前歯の間から突出し、上下の唇は緊張し、同様の状態が見られます。つまり、口腔周囲筋の異常は、歯の位置の異常が原因となって生じると考えられますが、逆にこれらの機能異常が不正咬合の原因となり、またその不正を維持あるいは増悪している場合もあります。


骨の成長への影響


成長発育期に 上下の歯のかみ合わせに異常があってかみづらいために下あごを前後左右のいずれかの方向にずらして口を閉じるようなことがあります。そのようなズレが長期間続くとあごの骨の成長に影響して異常な成長を誘導することがあります。また反対咬合では上あごの骨の成長が抑え込まれてしまったり、前歯のかみ合わせの深い人は下あごの成長が抑制されたりすることがあります。


顔の形への影響


唇と歯はお互いに非常に密接に関連しています。歯が出ていれば唇も当然外側に出ますし、歯が内側に入っていれば唇も内側に引っ込んだ状態になります。


2010年に 日本矯正歯科学会が 実施した歯並びと矯正治療に関する意識調査の結果によると 歯並びで第一印象が左右されることが明らかになりました さらに歯並びが美しい人から受ける印象については清潔感がある健康的上品育ちが良い若く見えるなどが上位に挙げられていました。


口の中が健康であることそして良好な歯並び噛み合わせであることが 好感の持てる魅力的な 笑顔 の条件と考えられます。 矯正歯科治療の 大きな役割の一つに 自信にあふれた笑顔を作り出すことが挙げられます


歯並びやかみ合わせに対して悩んでいる方は、コンプレックスを感じ、その結果劣等感自信喪失など心理的影響と社会的不都合を感じてしまうことがあります。矯正歯科治療は審美性の改善によって心理的社会的に満足できる姿を形成する一助となると考えられます。


全身の健康への影響


不正咬合の中で最も頻度の高い叢生(そうせい)はお口の中の清掃を困難にし、むし歯や歯周病の誘因となります。重篤な場合には、むし歯や歯周病が原因で歯を失ってしまうことも考えられます。歯周病に感染すると歯周病菌が血流に乗って全身性の感染症を引き起こすこともあります。


また前歯が出ていることで口唇閉鎖不全が起こり、口呼吸になるため免疫力を低下させます。


小下顎症では気道が 警策 して睡眠時無呼吸症候群の原因になることがあります。


不正咬合を放置すると頭痛肩こり腰痛などの不定愁訴が生じることがあります。また同時に集中力が欠如したり、イライラしたりと精神的な影響にも及んでいきます。特に奥歯のかみ合わせの不具合は自律神経の機能を生み出す可能性が指摘されています。


 

まとめ


1. 歯並びやかみ合わせの悪さは口の衛生環境に悪影響を及ぼす。


2, 不正咬合はむし歯や歯周病のリスクを高め、歯に様々な問題を引き起こす。


3. 凹凸の激しい歯並びはむし歯と歯周病のリスクを増加させる。


4. 歯科矯正治療で歯並びが改善されルことで、歯磨きがしやすくなる。


5. 不正咬合は発音、口周りの筋肉、骨の成長、顔の形、全身の健康に影響を及ぼす可能性がある。


 

この記事を書いた人


歯科矯正治療担当医師

かわべ歯科院長 歯科医師 川邉滋次


 

参考文献


1. 町田幸雄. 乳歯列期から始めよう 咬合誘導. 一世出版, 2006.


2. 居波 徹. 反対咬合の早期治療と鑑別診断. 小児歯科臨床, 25(11): 15-27, 2020.



閲覧数:32回0件のコメント

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page