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先進花粉症免疫療法に子供の乳歯抜歯に影響する副作用?

更新日:2022年12月18日

はじめに


先日歯学博士・医療行政アナリストの中田智之先生の記事を拝見させていただき、中でも「花粉症でも抜歯注意!?免疫療法で危険な副作用」の記事は非常に参考になりました。


この情報を当院やそしてブログを見てくださっている方々にもお知らせしたく、投稿者の中田先生から許可をいただきましたので、私の調べた情報も加えて掲載します。


この記事を読んでいただき「怖いから薬を避ける」のではなく、「正しく情報を知り、薬と一緒にお付き合いしながら歯科診療をする。」と考えていただければ幸いです。


まず記事の内容ですが、一部を抜粋して掲載させていただきます。


歯科での抜歯時にシダキュアが強く作用

喉頭粘膜浮腫(こうとうねんまくふしゅ)は、喉頭(こうとう)と呼ばれる「のど」が腫れてふくらんでしまう状態です。「肺への空気の通り道」になるため、ふくらみが大きいとふさがってしまい窒息する危険性もあります。


これはシダキュアだけでなくダニアレルギー対策で使用されるミティキュアという薬でも同じことが起こりうると考えています。(本章で説明があります)


咽頭と喉頭の模型
咽頭と喉頭の模型

今回、「シダキュアとはどういう薬なのか?」「なぜシダキュアと歯科の外科手術が関係しているのか?」「シダキュア服用している場合の歯科治療」についてまとめてみました。


▼目次

シダキュアはどんな薬?

シダキュアの説明書に抜歯や口腔内手術の注意記載がある

小学生は短期間で乳歯抜歯の場面が来ることが多い

まとめ

参考文献


 


シダキュアはどんな薬?


シダキュアは2018年7月に販売開始された円形で木のマークが彫られている舌下錠です。

舌下錠というのは舌の下に薬を置き、唾液の力で溶ける薬です。


舌の下には粘膜があるため薬の吸収が早いです(飲むタイプの錠剤は30分舌下錠は2分)


シダキュアの「シダ」はCedar(スギ)、「キュア」はCure(治癒)という意味です。

シダキュアの成分は主にスギ花粉エキス粉末です。


このシダキュアには現在「2000JAU」と「5000JAU」の2種類があります。

このJAUは「Japanese Allergy Units」とよばれる、日本アレルギー学会が設定した日本独自のアレルギー活性の単位で、数値が大きいほど濃度が高くなります。


実はシダキュアが販売される前には、シダトレンという液体の薬がありました(現在は販売中止)。しかし冷蔵保存が必要で、液体の状態で2分間舌の下に保持しなければならない、少し使いづらい薬剤でした。


一方、シダキュアは常温で管理ができ、固体の状態で1分舌の下に保持する薬です。そのため、保存も使用もシダトレンよりも簡易的になっていると考えられます。


シダキュアを使用した治療法は、「アレルゲン免疫療法」「舌下免疫療法」とよばれています。スギやダニ、ハウスダストなどのアレルゲンを少しずつ長い間投与して症状を緩和させる治療法で小児にも有効です。


アレルゲン免疫療法には他にも「ミティキュア」(円形で五角形のマーク)というダニアレルギーのための薬があります。シダキュアとミティキュアの併用もされています。


シダキュアの年齢制限は定められていませんが、薬品製造企業は5歳以上を推奨しています。治療開始はスギ花粉が飛散してない時期で使用期間は3〜5年の継続使用します。


ミティキュアはダニアレルゲンのための舌下免疫療法の1つです。この薬を舌の下部に入れてゆっくり溶かして処方していきます。ただし歯科の抜歯や、歯周外科手術の場合、舌下免疫療法の薬が効きすぎてしまう恐れもあるので、注意が必要です。
ミティキュア 円形の中に五角形のマークが描かれている

 


シダキュアの説明書に抜歯や口腔内手術の注意記載がある


では、そのようなアレルギーを克服することを目指す薬がなぜ歯科の外科治療でアレルギー症状を起こす危険性があるのでしょうか?


シダキュア説明書の「重要な基本的注意」という部分に、

抜歯後は口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症がある場合には口腔内の状態を十分観察し本剤投与の可否を判断すること。(口腔内の状態においては本剤の吸収に影響を与える恐れがある。また本剤が傷が炎症部位に刺激を与える恐れがある)

と記述されています。これはダニアレルゲン「ミティキュア」にも同様の内容が記載されています。


つまり、歯周病の外科処置を行ったことで、傷口から高い濃度の薬(スギ花粉エキス粉末)が体内に入り、強いアレルギー反応を起こしたと考えられます。


口の中に傷があれば同じことが起こりうるので、抜歯だけでなく外科手術でも同様のことが起こる可能性はあります。特に奥歯付近でアレルギー反応が起こると粘膜が腫れて最悪窒息のリスクがある恐れもあります。特に子供は浮腫などが大きく出やすいです。


抜歯等に関しての注意書きはありますが、販売が2018年ということもありこの情報は必ずしも歯科業界の中で周知されているわけではありません。


 


小学生は短期間で乳歯抜歯の場面が来ることが多い


永久歯が生えそろっている中学生〜成人の方であれば、歯科医院で歯を抜くことは比較的少ないと考えられます。


歯を抜くことがあるとすれば、「むし歯を放置してかぶせものができないくらい進行してしまった」「歯周病が進行して歯が揺れて生活に支障が出る」「かみ合わせや事故・ケガで歯が割れてしまった」「親知らず」「過剰歯の抜歯」「成人歯科矯正の治療のための抜歯」などです。


以下の表、平成28年歯科疾患実態調査「歯を1本でも失ったことがある人の割合(親知らずを除く)」からも、40〜44歳の歯を失った方が2016年は31.1%と「歯を抜くまたは脱落する経験」をしていない方は約7割ということになるため、抜歯をする状況はそこまで多くないです。


喪失歯所有者率の年次推移

ただし、小学生の場合は「歯の生え変わり」によって乳歯を抜歯する場面が多くあります。


当院では小児矯正・小児歯科で子どもさんを診ていますが、5〜6歳以降から中学生までの間に乳歯が抜け永久歯が生えてくる生え変わりが、ほぼ全ての子供達にあります。


その際、「乳歯がグラグラしているために生活に支障が出る場合」や、「生えてきた永久歯が乳歯にジャマされている場合」に乳歯を抜歯します。シダキュアやミティキュアは小学生のお子様でも使用できるため乳歯の抜歯時に注意が必要です。


そこで、今後シダキュアを使用したお子さんの来院を想定し、実際シダキュアを処方している内科医の先生に質問させていただきました。その結果シダキュアについて詳しい回答をいただけましたので、今回一部抜粋して掲載します。


シダキュアスギ花粉錠は3年を目処に継続予定ですが、歯科で歯を抜いた後に傷口に薬剤を投与することによりアレルギー反応が起こる危険性もあります。抜歯前3〜4日から抜歯後1週間程度は舌下療法一時中止していただいても問題ありません。

「歯を抜く前3〜4日前と抜いた後1週間は薬の服用を止めても問題ない」という内容です。ただし患者さんの年齢や個人差があるため、アレルゲン免疫療法を行っている患者様には処方している医科との連携が大切だと考えております。


 


まとめ


1. シダキュアはスギ花粉症のアレルゲン免疫療法であり、3年〜5年は継続使用する。


2. アレルゲン免疫療法には他にも「ミティキュア」というダニアレルギーのための薬があり、シダキュアとミティキュアの併用がされている。


3. シダキュア・ミティキュア取扱説明書にも抜歯などの傷を伴う歯科手術で影響を与える恐れがあると記述されている。


4. 小学生の場合歯の抜けかわりによって乳歯を抜歯する機会が多くある。


5. 「アレルゲン免疫療法」を行っているまたは今後行う予定がある場合には、かかりつけの歯科医院に相談することがお勧め。


 


この記事を書いた人


静岡県菊川市の歯科医院の歯医者さん

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


 


参考文献


①中田智之:「花粉症でも抜歯注意!?免疫療法で危険な副作用」

https://nakadashika.blogspot.com/2021/03/blog-post.html


②公益社団法人日本小児歯科学会:小児歯科学専門用語集第2版.医歯薬出版株式会社(2020)


③湯田厚司,小川由起子,萩原仁美,鈴木祐輔,神前英明,清水猛史:多重抗原感作が花粉飛散期におけるスギ花粉免疫療法の治療効果に及ぼす影響.日本耳鼻咽頭学会会報124巻3号p211-p217(2021)


④厚生労働省:平成28年歯科疾患実態調査






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