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シダキュア・ミティキュア中の子どもは乳歯を抜いても大丈夫?抜歯時の注意点を歯科医師が解説

はじめに-シダキュア・ミティキュアで治療中のお子さんが抜歯治療を受けるときの注意点


▼目次


舌下免疫療法中でも歯科治療は可能です

花粉症やダニアレルギーの治療として、シダキュアミティキュアによる「舌下免疫療法」を受けるお子さんが増えています。かわべ歯科でも、鼻づまりや口呼吸の改善を目的に、必要に応じて医科での舌下免疫療法をおすすめすることがあります。


舌下免疫療法は、アレルゲンを少量ずつ舌の下から体内に取り入れ、アレルギー反応を起こしにくい体質へ導く治療法です。小児にも広く行われており、治療は3〜5年程度継続することが一般的です。


一方で、歯科治療では注意が必要なケースがあります。


それは、乳歯の抜歯や口腔内の手術、口内炎、ケガなどにより、口の中に傷や強い炎症がある場合です。


シダキュアやミティキュアの添付文書には、抜歯後など口腔内に傷や炎症がある場合は、本剤の吸収に影響を及ぼしたり、傷や炎症部位を刺激したりするおそれがあるため、口腔内の状態を十分に確認し、投与の可否を判断することと記載されています。


ただし、舌下免疫療法を受けているからといって歯科治療や乳歯の抜歯ができないわけではありません。


大切なのは、シダキュアやミティキュアを使用していることを歯科医院へ必ず伝え、必要に応じて処方医と歯科医師が連携して対応することです。


特に小学生は、永久歯への生え変わりの時期に乳歯を抜歯する場面があります。「グラグラしている乳歯を抜く予定がある」「永久歯が出てきたのに乳歯が残っている」「口内炎や口の中の傷がある」このような場合は、自己判断で薬を中止したり再開したりせず、必ず処方医と歯科医師に相談しましょう。


この記事では、シダキュア・ミティキュアなどの舌下免疫療法を受けているお子さんが乳歯を抜歯する際に知っておきたい注意点について、歯科医師の立場から分かりやすく解説します。



シダキュア・ミティキュアとは?


シダキュア
シダキュア

シダキュアは、スギ花粉症に対する舌下免疫療法に用いられるお薬です。舌の下でゆっくり溶かして服用し、少量のスギ花粉アレルゲンを継続的に体内へ取り入れることで、アレルギー症状を起こしにくい体質へ導きます。


ミティキュア
ミティキュア

一方、ミティキュアはダニアレルギーに対する舌下免疫療法のお薬で、服用方法はシダキュアと同様です。


いずれも5歳以上の小児から使用できる薬剤で、3~5年程度継続して治療を行うことが一般的です。アレルギー症状の改善が期待できることから、小児にも広く使用されています。



なぜ乳歯の抜歯で注意が必要なの?


小学生は5〜12歳頃に乳歯から永久歯へ生え変わるため、歯科医院で乳歯を抜歯する機会が少なくありません。


なぜ舌下免疫療法中は乳歯の抜歯で注意が必要なの?

例えば、「乳歯がグラグラして食事がしにくい」「永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けない」といった理由で抜歯を行うことがあります。


一方、シダキュアやミティキュアなどの舌下免疫療法では、添付文書に「抜歯後や口腔内手術後、口の中に傷や炎症がある場合は、口腔内の状態を十分に観察し、本剤投与の可否を判断すること」と記載されています。


これは、「舌下免疫療法中は乳歯を抜歯できない」という意味ではありません。抜歯後の傷口や炎症の状態によっては、薬の吸収や局所への刺激に影響する可能性があるため、口腔内の状態を確認したうえで、処方医と歯科医師が連携して対応することが大切です。



歯科医院ではどのように対応するの?


かわべ歯科では、舌下免疫療法中のお子さんが乳歯の抜歯などの外科処置を受ける際は、必要に応じて処方医へ照会し、医科歯科連携のもとで治療を進めています。


抜歯前に歯科医院へ伝えて欲しいこと

受診の際は、次の内容を事前にお知らせください。

  • シダキュア・ミティキュアを服用していること

  • 処方している医療機関名

  • 現在の服用状況

  • 抜歯前後の服薬について処方医から受けている指示


これらの情報を共有していただくことで、処方医と連携しながら、お子さんの状態に合わせた適切な歯科治療を行うことができます。


シダキュア・ミティキュアについて販売会社と日本小児歯科学会はどう考えている?


学会の舌下免疫療法に対する歯科治療の見解

2023年頃から、シダキュア・ミティキュアと歯科治療の関係について、歯科医療従事者の間でも広く知られるようになりました。一方で、「舌下免疫療法中は抜歯すると危険」「必ずアナフィラキシーを起こす」といった、不正確な情報がSNSなどで拡散されたこともありました。


現在、シダキュア・ミティキュアを販売する鳥居薬品株式会社は、「歯科治療後にアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用が発現したという報告はない」と公表しています。


一方で、添付文書には、抜歯後や口腔内手術後、口内炎などで口の中に傷や炎症がある場合は、本剤の吸収や傷・炎症部位への刺激に影響する可能性があるため、口腔内の状態を確認し、処方医の指示に従って服用するよう記載されています。


また、日本小児歯科学会も、舌下免疫療法中の抜歯や口腔内手術、口内炎などでは注意が必要としていますが、一律に休薬が必要とは示していません。


つまり、舌下免疫療法中だからといって歯科治療や乳歯の抜歯を避ける必要はありません。重要なのは、自己判断で薬を中止するのではなく、処方医と歯科医師の指示に従い、お口の状態に応じて適切に対応することです。


舌下免疫療法中でも、多くの場合は適切な連携により安全に歯科治療を受けることができます。心配なことがあれば自己判断せず、処方医と歯科医師へ相談しましょう。



まとめ


  1. シダキュア・ミティキュアは、スギ花粉症やダニアレルギーに対する舌下免疫療法で、3〜5年程度継続する治療。


  2. 添付文書には、抜歯後や口腔内手術後、口の中に傷や炎症がある場合は、服用について処方医の指示に従うよう記載されている。


  3. 小学生は乳歯から永久歯への生え変わりにより、乳歯を抜歯する機会が多いため、舌下免疫療法中は保護者の方が事前に歯科医院へ伝えることが大切。


  4. シダキュア・ミティキュアを使用しているからといって、歯科治療や抜歯ができないわけではない。


  5. 薬の休薬や再開は自己判断で行わず、必ず処方医の指示に従うことを推奨。


  6. 歯科医師と処方医が連携することで、多くの場合は安全に歯科治療を受けることが可能。


  7. かわべ歯科では、舌下免疫療法中のお子さんや成人の患者さんも、必要に応じて医科と連携しながら、安全性に配慮した歯科治療を行っている。


執筆者プロフィール


静岡県菊川市の歯科医院の歯医者さん

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次



参考文献


1. 中田智之:「花粉症でも抜歯注意!?免疫療法で危険な副作用」


2. 公益社団法人日本小児歯科学会:小児歯科学専門用語集第2版.医歯薬出版株式会社(2020)


3. 湯田厚司,小川由起子,萩原仁美,鈴木祐輔,神前英明,清水猛史:多重抗原感作が花粉飛散期におけるスギ花粉免疫療法の治療効果に及ぼす影響.日本耳鼻咽頭学会会報124巻3号p211-p217(2021)


4. 厚生労働省:平成28年歯科疾患実態調査.


5. 「シダキュア®スギ花粉舌下錠」および「ミティキュア®ダニ舌下錠」適正使用へのご協力のお願い. 鳥居薬品株式会社. 2023.


6. 舌下免疫療法中の小児歯科治療について. 公益社団法人 日本小児歯科学会. 2023.








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