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子どもが事故やケガで歯をぶつけた時どう対処すればいいの?

更新日:2023年9月2日

はじめに


お子さんの場合、「頭と身体のバランス」「歩き方や筋肉の発達が未熟」「周りに注意が及ばないことがある」などの理由で、大人と比べ転んでしまう・ぶつかってしまうことが多いです。当たり方によっては、歯をぶつけてしまう、口を切ってしまうことがあります。

転ぶ子供

歯の中で最もぶつけてしまいやすい部位は「上あごの前歯部分」です。これは上あごの歯列の方が下あごよりも外周にあり、かつ転んだ時は前歯が当たりやすい場所だからです。特にお口が常に開いている、または上の歯が出ているお子さんの場合、歯が常に露出していることが多くダメージを受けるリスクが上がります。


転んでぶつけやすい歯の部位
転んでぶつけやすいのは上の前歯

またお子さんの場合、これから永久歯が生えてくる部分の乳歯、生えたばかりで根の部分が完成していない永久歯のため、ぶつけてしまった場合は、永久歯への影響が考えられます。


永久歯がダメージを受けると


1. 永久歯の変色や歯の表面にあるエナメル質がうまく形成できない

2. 歯が曲がる・歯の形が不自然になる

3. 永久歯の根部分がうまく成長できず短くなる

4. 永久歯が生えてこない


などの症状が挙げられます。


歯をぶつけてしまった時は「歯が揺れる」「歯が欠ける」「歯が埋もれる」「歯が変色する」「歯が抜ける」ことがあります。これらの症状は複数発生することもあります。


本来であれば転んだり、ぶつけたりすることなく生活してほしいという願いはありますが、保護者の方がどんなに注意していても転んでしまうことが考えられます。実際私の子供やスタッフの子供も転んだり、遊具などに当たって歯をぶつけてしまった経験があります。


今回は万が一歯をぶつけてしまった時の症状と対応についてまとめてみました。

さらにケガで歯が抜けてしまった場合お家で最初にして欲しいことも記載しておりますので、予備知識として保護者の方やご家族の方に知っていただけたら幸いです。


目次▼


 

歯をぶつけてしまった時の対応


1. 歯が揺れる


歯の揺れが軽度の時には、かみ合わせを確認し症状を見守っていきます。

揺れが大きい場合は、脱臼や歯の根の割れも考えられますので、周りの歯と連結固定をしてレントゲンを撮影して状態を観察していきます。


2. 歯が欠ける


歯が欠けた場合は割れ方によって治療方法が変わります。


歯の欠け方が軽度の場合には、尖っている部分を丸める、コンポジットレジンとよばれる樹脂の歯科材料で修復をします。冷たい水や刺激でしみる場合は、歯科用のセメント(グラスアイオノマーセメント、MTAセメントなど)で神経周りを保護してから修復をしていきます。


欠ける範囲が大きく、歯の神経まで及んでいる場合には神経の一部または全部を取り除き(できる限り神経の保存に努めます)、修復をして永久歯の交換まで経過を見守っていきます。


外からの見た目では割れていないのに、レントゲンで歯の根部分が割れてしまっている場合もあります。この場合は周りの歯と連結固定をして状態を観察していきます。


3. 歯が埋もれる


歯が事故や怪我によって埋もれてしまうことがあります。乳歯の場合は経過を観察して伸びてくるかを確認します。伸びた後もかみ合わせや神経の有無、変色などを検査していきます。永久歯の場合は矯正装置を使用して引っ張り上げる治療をします。


4. 歯が変色する


歯が変色する現象は、事故やケガでぶつけた時から1ヶ月以内で起こります。この時すぐ治療することはなく、レントゲンを撮り経過を見守っていきます。


乳歯の変色が改善されていく場合は治癒した可能性があります。変色が続いている場合でも、レントゲンを撮影して乳歯の根の部分に問題がない場合も治癒の可能性が高いと考えられます。これらの場合は歯科治療をしなくても将来問題なく永久歯と交換されることが多いです。


しかし変色が続き、乳歯の根の部分に問題がみられる場合は、歯の神経が生きていない可能性が高く、腫れや膿(うみ)、痛みなどの症状が出てくる場合があります。この場合は歯の根の治療をします。治療せず放置すると、永久歯との交換がスムーズに出来ないこともあります。


事故やケガで歯が抜けてしまった時最初にして欲しいこと


事故や怪我で歯が抜けてしまった場合は、歯を元の位置に戻す「再植」という治療をします。再植は歯の根に付着している「歯根膜(しこんまく)」という歯を支える組織が生きているかどうかによってその後の結果が変わります。


歯根膜
歯根膜は根と骨の間に存在する

1. なるべく早くかかりつけの歯科医院に連絡すること


まずは、早く治療が受けられるように、気づいた時にかかりつけの歯科医院に連絡をとりましょう。かかりつけの歯科医院がない場合や、時間外の際は最寄りの歯科医院に連絡して処置を受けてください。


2. 冷たい牛乳または生理食塩水に抜けてしまった歯を入れておくこと


抜けた歯は乾燥することでダメージを受けてしまいます。乾燥状態で30分以上放置すると歯根膜が死んでしまう可能性が高くなります。水の中に入れても浸透圧の問題で歯根膜が長く保ちません。通販サイト等で抜けた歯を保存する専用液がありますが、いざという時に用意できないのが現状です。


歯の救急保存液
歯の救急保存液

その中で牛乳はどこでも手に入りやすい滅菌水で、浸透圧も生体に近いです。冷たい牛乳に漬けておくと6〜12時間ほど歯根膜の延命に役立ちます。ただし、牛乳アレルギーのあるお子様はこの方法はしないでください。



抜けた歯を保存する牛乳

牛乳アレルギーや家に牛乳がない方は、500cc(500mlペットボトル1本分)のミネラルウォーターに小さじ1杯(約5g)の食塩水を混ぜ生理食塩水と似た濃度の液をつくり、その中に抜けてしまった歯を入れて早めに歯科医院に持っていってください。水道水を沸騰させて蒸留水を作る方法もありますが、十分に冷ましておくことが必要なので、緊急時にはなかなか現実的ではないかもしれません。


水

3. 移動させる時は歯の根本部分になるべく触れないこと


歯根膜はデリケートです。そのため歯を移動させる時は歯の根本部分になるべく触れないようにして歯の頭部分を持ってください。


抜けた歯の持ち方
抜けた歯の持ち方

 

まとめ


1. 歯の中で最もぶつけてしまいやすい部位は上あごの前歯部分。


2. 永久歯がダメージを受けると「永久歯の変色や歯の表面にあるエナメル質がうまく形成できない」「 歯が曲がる・歯の形が不自然になる」「永久歯の根部分がうまく成長できず短くなる」「 永久歯が生えてこない」などの症状が出る場合もある。


3. 歯をぶつけてしまった時は「歯が揺れる」「歯が欠ける」「歯が埋もれる」「歯が変色する」「歯が抜ける」ことがあります。


4. 歯が抜けてしまった場合の再植は、戻すまでのスピードや歯根膜の保存によって左右されるため、初動が大切。


 

この記事を書いた人


菊川の一般歯科と矯正歯科、小児歯科の歯医者さん。

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


 

参考文献


1. 月星 光博.外傷歯の診断と治療 増補新版 (シリーズ MIに基づく歯科臨床) .クインテッセンス出版. 2009.


2. 西田郁子. "小児期の歯の外傷への対応." 九州歯科学会雑誌 63.4 (2009): 204-210.


3. 甲原玄秋, and 佐藤研一. "小児における口腔外傷の実態調査." 小児歯科学雑誌 38.3 (2000): 509-513.



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