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子どもの乳歯・永久歯が生えてこない?知っておきたい歯の生え変わり時期

はじめに


「乳歯から永久歯への歯の生え変わり」の進行は、個人差が非常に大きいです。小学校の同学年でも、永久歯が何本も生え変わっている子供もいれば、まだ乳歯列の子供もいます。


これは異常ではなく、個性と考えていただければ良いです。しかし、中には「生え変わりが順調だったのに特定の永久歯だけまだ生えてこない」「乳歯が抜けたのにその後何ヶ月も永久歯が見えてこない」といった状況もあります。このように、永久歯が生えてこないと、仕上げ磨きなどで毎日見ている親御さんも心配になってしまうと思います。


歯の生え変わりの異常に関するチェック項目として、以下の3つが挙げられます。


1. 歯の生え変わる時期の目安

2. 歯の生えてくる順番

3. 左右反対側の同じ歯との生える時期の違い


今回は、「歯の生え変わり」に関して、上記の3つのチェック項目と、その原因・対策についてまとめてみました。お子さんの口の中を見て、「永久歯が生えてくるのが遅い」と悩んでいたり、不安になっている親御様に参考にしていただけたら幸いです。


目次


 

まずは歯の生え変わり時期の目安をチェック


歯の生え変わり時期には目安があります。中には全体的に生え変わりが遅いお子様もいますので、目安から遅れていても異常ではないこともあります。そのため、1つの参考として考えていただけたら幸いです。


(乳歯の場合)


乳歯の生えてくる時期

乳歯は下の中央部分前歯(下A)から生え始めます。


生えてくる時期に遅れがある場合、成長スピードが遅いのか、他の歯にぶつかって生えてこれないのかを判断していきます。


生えてくるのが遅いという理由だけではなく、乳歯の本数が不足していたということもあります。


(永久歯の場合)


乳歯と比較すると、永久歯は生えてくる年齢の幅が広く、後から生えてくる歯はさらに期間のバラつきが大きくなる傾向があります。また、乳歯と比べて「埋もれてしまったまま出てこない(埋伏)」「生えてくる場所や方向が違う」などの問題も多く見られます。


永久歯の生えてくる時期

永久歯の生えてくる順番は個人差がある


乳歯は生えてくる順番が上下ともA→B→D→C→Eとなっておりこの順序が入れ替わることはまれです。しかし永久歯の場合生えてくる順番には個人差があります。


歯の生え変わり時期

そのため、口の中の診査だけでは生えてくる順序を予想することが難しく、確認するためにはレントゲン撮影が大切です。


左右反対側の同じ歯との生える時期の違いも参考に!


先天性欠損(永久歯の本数が足りない)がなければ、親知らずを除いて歯は左右対象に2本ずつ存在します。


この際、片方の歯が生えてきてから反対側の歯が12ヶ月以上遅れている場合は、何かしらの異常があると疑われます。


ただし、12ヶ月も待つと対応の難易度が上がることもあるため、できれば4ヶ月くらいで相談していただくことをお勧めします。


学校検診で永久歯の遅れなどは意外とみつかりにくい


子どもの乳歯・永久歯の萌出異常は、対応する時期が遅くなってしまうと、治療が難しくなる傾向があります。


子どもたちが毎年受ける学校検診(保育園や幼稚園の検診も含む)で生え変わりの異常も診てくれていると思われがちですが、レントゲン撮影もない状態での短時間の検診では限界があります。


小学校歯科検診

検診で、歯科医師が萌出異常を疑ったとしても、記入欄が「歯列・咬合の問題」または「その他」として簡潔に記載されるため、健康診断のお知らせを見ただけでは詳細がわからず保護者の方に伝わりづらいこともあります。


将来生えてくる歯は対応する時期が大切です。そのため「生えてくるのが遅いな」という違和感を感じた時は、歯科医院に相談し、レントゲンを含めた検査をしていただくことをお勧めします。


永久歯が生えてこない・遅れの原因と対応


歯が生えてこない・遅い原因としては、「乳歯が重度のむし歯になっており根の先で病巣ができた」「過去に乳歯をぶつけてしまったことがあり、亀裂が入った部分から細菌が侵入して病巣ができた」「生え変わる対象の乳歯が残り続けている」「過剰歯」「上唇小帯の付着異常(上唇から前歯の中央部分につながる筋)」などが挙げられます。


永久歯が生えてこない原因

対策として、乳歯や過剰歯が原因の場合は、精査の後、その乳歯・過剰歯を抜くことがあります。永久歯が自力で生えてこれない場合には、矯正装置を使用して、歯を引っ張り出すような処置がとられる場合があります。


 

まとめ


1 . 「歯の生え変わる時期の目安」「歯の生えてくる順番」「左右反対側の同じ歯との生える時期の違い」が永久歯が生えてこない・遅れの参考となる


2. 生えてくるのが遅いという違和感を感じた時に早めに歯科医院で相談し、レントゲンを含めた検査することがお勧め。


3. 永久歯が自力で生えてこれない場合には引っ張り出すような処置がとられる場合がある。

 

この記事を書いた人


かわべ歯科院長 川邉滋次

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


 

参考文献


1. 有田憲司, et al. "日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究 II その 1. 乳歯について." 小児歯科学雑誌 57.1 (2019): 45-53.


2. 有田憲司, et al. "日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究 II その 2. 永久歯について." 小児歯科学雑誌 57.3 (2019): 363-373.


3. Makino, Eiko, et al. "Difference in bilateral timing of eruption of permanent teeth." The Bulletin of Tokyo Dental College 59.4 (2018): 277-284.


4. 田口洋. "萌出障害の臨床 上顎中切歯と上顎犬歯." 小児歯科学雑誌 47.5 (2009): 673-682.




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