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歯がねじれている・回転している-それ「捻転歯」かも!?原因・治療法まとめ

はじめに-歯がねじれているのも歯並び異常の1つです


歯のねじれと回転

「うちの子、なんだか歯が変な向きに生えてきたかも?」「歯がねじれている気がするけれど、大丈夫かな…?」


お子さんの歯が生えはじめると、こんなふうに気になることも増えてきますよね。実は、歯がまっすぐではなく、少しねじれたような状態で生えてくることがあり、これは「歯の捻転(ねんてん)」と呼ばれるものです。


捻転は見た目の問題だけでなく、歯みがきのしにくさや、噛み合わせのズレなどにつながることもあります。成長とともに自然に改善する場合もあれば、矯正治療が必要になるケースもあるため、早めに気づいてあげることがとても大切です。


このページでは、「歯の捻転」とはどういうものなのか、なぜ起こるのか、そして必要な対処法について、保護者の方にもわかりやすくご紹介していきます。大切なお子さんのお口の健康を守るために、ぜひ参考にしてください。


▼目次


前歯の向きが曲がっている


1. 上顎中切歯の向きの異常


上顎中切歯の捻転

上顎中切歯とは、上の前歯のいちばん真ん中にある左右1対の歯のことです。鏡で歯を見たとき、笑ったときに最も目立つ前歯がこれです。

歯の呼び方としては「右上の1番」と「左上の1番」にあたります。


上顎中切歯

前歯の真ん中2本(上の前歯・中切歯)は、少しねじれて「ハの字」に開いたような形で生えてくることがよくあります。


ねじれが軽い場合は、となりの前歯(側切歯)が生えてくることで、自然とまっすぐになってくることがあります。


ただし、ねじれが強かったり、歯が並ぶスペースが足りなかったり、前歯の間に余分な歯(過剰歯)があったり、そもそも隣の歯がないような場合は、自然に治ることはほとんどありません。


また、ねじれたままスペースが足りない状態で隣の歯が生えてくると、その歯がねじれた部分に入り込んでしまい、歯並びがさらに悪くなることがあります。こうなると、きれいに整えるのが難しくなってしまいます。


多くの場合、ねじれは「外側が前に、内側が奥にねじれる」パターンが多いですが、その逆になることもあります。左右対称にねじれることもあれば、片側だけねじれる場合もあります。


治療としては、スペースが足りないときは、あごを広げるなどして歯が並ぶ場所を確保します。ねじれが強い場合は、矯正装置を使って歯の向きを整えます。もし余分な歯(過剰歯)がある場合は、まずそれを抜いてから矯正を始めます。


2. 上顎側切歯の捻転


上顎側切歯の捻転

上顎側切歯とは、上の前歯の中で、真ん中の歯のすぐ横にある歯のことです。

たとえば鏡で自分の歯を見てみると、いちばん真ん中にあるのが「中切歯(ちゅうせっし)」という前歯ですが、その両隣にある少し小さめの歯が「側切歯(そくせっし)」です。左右に1本ずつ、合計2本あります。



上顎側切歯

乳歯より永久歯がかなり大きい1番の横に位置するため、2番のスペースが足りないことが多く、それが歯のねじれの原因と考えられます。


スペース不足を拡大装置などで改善すれば、第2番の捻転は自然に改善しやすく、改善後の後戻りも他の歯に比べて少ない傾向があります。


奥歯の向きが曲がっている


90°捻転

奥歯のねじれは主に上あごと下あごの第二小臼歯に発生します。


上下顎第二小臼歯

奥歯の場合、歯が生える前(10歳頃まで)でも、レントゲン撮影をすることによって発見されることがあります。歯の90度捻転は上下の前歯から小臼歯にかけて見られます。ただし、その曲がった状態で生えるかどうかは、歯の生えるスペースの大きさや歯の形に大きく依存します。


楕円形の歯の場合
楕円形の歯の場合

円形の歯の場合
円形の歯の場合

歯の頭の部分(歯冠)が平たくて楕円(だえん)形の場合、周りのスペースが足りないと影響を受けやすく、うまく並びきれないことがあります。逆に、円に近い形をしている歯は、生えてくるときに回転(=ねじれ)やすい傾向があります。また、第二小臼歯(前から数えて5番目の歯)が生えるスペースが広すぎると、歯が斜めにねじれてしまうこともあります。


「歯は、生える前からねじれているの?それとも生えてから曲がるの?」という疑問については、小臼歯の場合、生える前からすでにねじれた状態であることが多いです。


歯が90度もねじれているようなケースでは、まず「ボタン」や「フック」と呼ばれる小さな矯正装置を2ヶ所に取りつけ、それぞれの方向に力をかけて少しずつ元の向きに戻していきます。ある程度まっすぐになったところで、一般的な「ブラケット」という矯正装置に切り替えて、整えていきます。


歯のねじれは解消してからが正念場!?


ねじれが改善してもすぐに装置を外してしまうと、また元の向きに戻ってしまう「後戻り」が起きやすいため、歯の位置を安定させるための「固定期間」を長めに取ることが大切です。


固定期間を一律に決定するのは難しく、患者さんの年齢や不正咬合の種類、あるいは原因、治療期間などによっても異なり、答えは1つではありません.


上の表に一般的な保定期間の目安を示しましたが、あくまでも参考としてお考えください。

中でも歯の回転は、後戻りしやすいといわれており、並んだ後も長期の固定が必要です。


高齢になるほど固定期間が長く,唇をかむ癖や舌癖など悪習癖を有する場合その癖を解決しないと固定後後戻りを起こす恐れがあります。



まとめ


1. 歯のねじれは治療後も「後戻り」が起こりやすい


2.固定期間は年齢や症状によって個別に判断される


3. 回転した歯は特に後戻りしやすく、長期固定が必要


4. 舌癖・唇をかむ癖などの悪習癖は後戻りの原因になる


5. 保定は矯正治療の仕上げとして重要なステップである



この記事を書いた人


菊川の一般歯科と矯正歯科、小児歯科の歯医者さん。

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次



参考文献


1. SWANSON, WILLIAM D., RICHARD A. RIEDEL, and JAMES A. D'ANNA. "Postretention study: incidence and stability of rotated teeth in humans." The Angle Orthodontist 45.3 (1975): 198-203.





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