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永久歯が生えてこない?本数が足りない原因と治療法を歯科医が解説【先天性欠如歯】

更新日:7月18日

はじめに-永久歯の本数は親知らずを除いて28本!足りない場合は先天性欠如歯かも!?


▼目次


永久歯の本数が足りない

親知らずを除く永久歯は、通常28本あります。


永久歯の数28本(親知らずを除く)
正常な歯列模型(親知らずを除く)

しかし、生まれつき永久歯が1本以上作られない状態を「先天性欠如歯(せんてんせいけつじょし)」といいます。


日本では約10人に1人(約10%)にみられることが報告されています。


永久歯の本数が足りないと、歯並びやかみ合わせに影響を及ぼすことがあります。しかし、早期に発見できれば、矯正治療を含めた治療の選択肢を広げることができます。


今回は先天性欠如歯の原因や見つけ方、矯正治療についてわかりやすく解説します。



永久歯の本数が足りない原因は?予防できる?


先天性欠如歯は、永久歯のもと(歯胚)が作られないことで起こります。


原因はまだ完全には解明されていませんが、


・遺伝

・歯の発育異常

・まれに全身疾患


などが関係すると考えられています。


なお、永久歯が作られる時期は胎児期から生後9か月頃までのため、予防する方法は現在のところありません。


先天性欠如歯は10人に1人はいる!?


日本小児歯科学会の疫学調査では、先天性欠如歯は約10人に1人(10.09%)にみられることが報告されています。つまり、クラスに数人いても不思議ではない、決して珍しいものではない歯の発育異常です。


早期に発見できれば治療の選択肢が広がるため、定期的な歯科受診とレントゲン検査が重要です。


歯の先天欠如の発生率

先天性欠如歯は上あごよりも下あごに多くみられ、特に下の第2小臼歯(下5番)に多いことが知られています。そのほか、下の側切歯(下2番)上の第2小臼歯(上5番)上の側切歯(上2番)にも比較的多くみられます。


先天性欠如歯を早く発見するにはどうしたらいいの?


先天性欠如歯のサイン

先天性欠如歯は、日常生活の中で気づくことが難しいとされています。なぜなら、永久歯が足りなくても、歯の生えかわりが始まるまでは、お口の中に目立った変化が現れることがほとんどないためです。


しかし、次のような特徴がみられる場合は、先天性欠如歯の可能性があります。


① 乳歯から永久歯への生えかわりが遅い


② 乳歯に癒合歯(ゆごうし)がみられる


癒合歯とは、隣り合う2本の乳歯がくっついて1本の歯のようになっている状態です。癒合歯があるお子さんは、永久歯の先天性欠如を伴うことが比較的多いことが知られています。


癒合歯(ゆごうし)は2本の隣同士の歯が1本にくっついてしまう状態です。大人の歯よりも子どもの歯で見られ、下の前歯の側切歯と犬歯(乳歯なら乳側切歯と乳犬歯)または中切歯と側切歯(乳歯なら乳中切歯と乳側切歯)とのくっつきが多くみられます。乳歯では約4%ほどで起こるため決してまれな状態ではありません。原因は不明ですが顎の中で歯が作られる過程で隣とくっついてしまった説があります。
癒合歯(隣同士の2本の歯がくっついて1本になっている)

③ご家族に先天性欠如歯がある


④乳歯列(3歳〜5歳頃)の時点で乳歯の先天性欠如がある


これらに当てはまる場合は、一度歯科医院で相談することをおすすめします。


先天性欠如歯を確実に診断するには、レントゲン検査が必要です。定期的に歯科医院を受診し、永久歯の本数や発育状態を確認することで、早期発見・早期対応につながります。


なお、幼稚園・保育園の歯科健診や学校歯科健診ではレントゲン撮影を行わないため、永久歯の本数が足りないかどうかを診断することはできません。 そのため、先天性欠如歯は歯科医院でのレントゲン検査によって初めて見つかるケースがほとんどです。


永久歯の本数が足りないと咬み合わせや歯並びに影響する


永久歯が生まれつき足りない場合、そのまま経過すると、歯並びやかみ合わせにさまざまな影響が生じることがあります。


先天性欠如歯のデメリット

  • 歯と歯の間にすき間ができ、すきっ歯になる

  • 欠如した歯のすき間(スペース)へ隣の歯が倒れ込んでくる

  • かみ合う歯がないため、反対側の歯が伸びてくる(挺出)

  • 歯並びやかみ合わせのバランスが崩れる


このような変化が進行すると、将来の矯正治療が難しくなることもあります。そのため、永久歯の本数が足りないことが分かった場合は、歯並びやかみ合わせへの影響を考慮しながら、早い段階で治療方針を検討することが大切です。


子どもの先天性欠如歯はどのように治療するの?


先天性欠如歯の治療方法は、お子さんの年齢や歯並び、かみ合わせ、欠如している歯の部位などによって異なります。主に次の3つの方法を組み合わせて治療計画を立てます。


① 矯正治療で歯のすき間を閉じる


欠如した歯のスペースを矯正治療で閉じ、隣の歯を移動させて歯並びやかみ合わせを整える方法です。欠如した部位や歯並びによっては、人工の歯を入れることなく、矯正治療のみで治療が完了する場合もあります。


② 乳歯をできるだけ長く残す


永久歯が存在しない場合でも、乳歯が健康で十分に機能していれば、できるだけ保存することがあります。乳歯を残すことで歯並びやかみ合わせを維持できるため、あごの成長が終わるまで経過をみることが可能です。中には、乳歯を数十年にわたって問題なく使用できるケースもあります。


③ 将来、インプラントやブリッジなどで補う


成長期にインプラントを埋入すると、顎の成長に伴って位置がずれる可能性があるため、一般的には顎の成長が終了してから治療を検討します。それまでは、バンドループなどの装置で歯のスペースを保ち、将来の治療に必要なスペースを確保します。成長終了後、お口の状態に応じてインプラントやブリッジ、必要に応じて入れ歯などの治療方法を選択します。


バンドループ
バンドループ(歯1本分の隙間を確保する)

ナンスのホールディングアーチ
ナンスのホールディングアーチ(歯列全体のスペース確保)




まとめ


1. 永久歯28本(親知らずを除く)の中で歯の本数が1本以上足りない状態を先天性欠如歯(先欠)という。


2. 多くの歯が欠如している場合には遺伝の影響や全身の病気、ホルモン分泌の異常などが考えられる。


3. 先天性欠如歯に対する予防は難しい。


4. 先天性欠如歯の発生率は約10%(10人に1人)。


5. 永久歯の本数が足りないと、歯並びやかみ合わせに影響を及ぼすことがある。


6. 矯正治療で歯のスペースやかみ合わせを整えるほか、乳歯の保存や将来的なインプラントなど、お口の状態に応じた治療が可能である。



この記事を書いた人


静岡県菊川市のかわべ歯科院長兼理事長で歯科医師の川邉滋次です。

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次(歯科医師 小児歯科 矯正歯科)



参考文献

1. 山﨑要一, 岩﨑智憲, 早﨑治明, 齋藤一誠, 徳冨順子ほか: 日本人小児の永久歯先天性欠如に関する疫学調査, 小児歯誌, 48 : 29−39, 2010.


2. 呉健一, 新井一仁: 永久歯先天性欠如の発現様式のメタアナリシス A meta-analysis of tooth agenesis pattern of permanent teeth, 日本矯正歯科学会雑誌, 70(3): 184-196, 2011.


3. 河井 聡: 萌出障害 先天欠如,歯胚位置異常, 過剰歯, 捻転歯 臨床対応CASEBOOK. 東京. ヒョーロンパブリッシャーズ. 2022.

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