12歳臼歯に要注意!小学生から中学生頃に生える奥歯がトラブルの原因とは?
- 歯科医師 川邉滋次

- 9月24日
- 読了時間: 5分
はじめに-親知らずと勘違いされやすい12歳臼歯の問題とは?
▼目次

お子さんのむし歯は、食生活やお口のケア、口呼吸などの生活習慣が原因となります。そのため、原因を適切に解決することで、むし歯は未然に防ぐことが可能です。
一方で、歯の位置異常は、生活習慣とは無関係に発生することがあります。特に、歯の位置異常は日常生活に即座に支障をきたさないことが多いため、放置されがちです。その結果、問題に気づいた時には治療が難しくなることも少なくありません。
このような理由から、歯の位置異常は早期発見と早期対処が重要です。早期発見には、以下の2点が特に重要となります。
幼稚園年長までに歯科医院で定期検診を受ける(レントゲン撮影も定期的に行う)。
仕上げ磨きを欠かさず、お子さんの歯を日常的にチェックする。

特に、親知らずを除いた歯列の中で最後に生えてくる「第二大臼歯」は、問題を引き起こしやすい歯です。この第二大臼歯は「12歳臼歯」とも呼ばれ、通常12歳頃に生えてきます。

ちなみに、親知らずは「第三大臼歯」と呼ばれ、18歳頃に生えてきます。しかし、中には12歳臼歯を親知らずだと勘違いし、「中学生の頃に親知らずが生えてきた」と患者様ご本人や親御様からご相談を受けることもあります。実際、第二大臼歯・第三大臼歯は「永久歯が生え揃った後に生えてくる」「歯列の奥に生えてくる」「似たような大きさと形」「鏡を使っても本人が確認するのが難しい位置」のため見間違いやすい歯ではあります。

さて、12歳臼歯が生えてくる時期は、小学校から中学校への進級など、生活環境が大きく変わり、多忙になりがちな時期です。また、この頃の年齢は、親御さんの仕上げ磨きを卒業しているため、お子さんの口の中の状態を把握しづらくなります。そのため、注意が行き届かず、問題を見逃してしまうことも少なくありません。
12歳臼歯はお口の奥に位置するため、かみ合わせの不具合やブラッシングが届かないことによるトラブルが起きやすいです。この12歳臼歯が生えたばかりの時期に起こりやすい問題には、以下の3つが挙げられます。
シザーズバイト(はさみ状咬合)
前方向への傾き
むし歯や歯ぐきの炎症
そこで、今回は12歳臼歯による問題についてまとめました。この記事を読んでいただき、ぜひ早期にチェックし適切なケアを行っていただけたら幸いです。
上下の12歳臼歯がかみ合わない(シザーズバイト)

シザーズバイトは「はさみ状咬合」ともよばれ、上下の奥歯が本来のかむ面で当たらず、空振りをしている状態を指します。

通常、上の奥歯(大臼歯)は生え始めに頭が外側を向いていますが、ほほからの圧力を受けて、次第に内側に戻りながら正しい位置に生えてきます。一方、下の奥歯は最初に内側を向いて生えますが、舌の力で外側へと押し戻され、かみ合わせが合うように調整されていきます。
しかし、歯の傾きが最初から大きすぎたり、ほほや舌からの圧力がうまく伝わらなかったりすると、上下の奥歯のかみ合わせ面が正しく合わず、歯の側面どうしが当たってしまう「空振り」状態になることがあります。
いったん側面で接触するようになると、かむたびに上の奥歯はより外側へ、下の奥歯はより内側へと押されてしまい、かみ合わせのズレが悪化します。この状態を自然に改善するのは難しく、多くの場合、矯正治療が必要になります。
こうした現象は自然に起こることもありますが、歯並びを広げる「拡大床(かくだいしょう)」という矯正装置を使う際に、上下のバランスを考えずに上の歯だけを大きく広げてしまった場合にも起こりやすくなります。
また、上下の奥歯が深く噛み合いすぎた「シザーズバイト(はさみ状咬合)」という状態になっている場合は、歯がしっかり引っかかるため、治療の難易度が高くなります。
さらに、後ろから生えてくる親知らずの「歯胚(歯の元になる組織)」が大きくなってくると、奥歯が動くスペースが狭くなり、歯並びに悪影響を及ぼすこともあります。
特に、12歳臼歯が生えてくる小学校高学年〜中学生の時期は、歯並びに変化が出やすい時期です。かみ合わせや歯の生え方に問題がないか、歯科医院で一度チェックしてもらうことをおすすめします。

治療としては上下の歯にボタンという装置を装着しゴムで引っ張る「交叉ゴム」という方法や、固定式の装置を装着してゴムで引っ張る方法などがあります。
12歳臼歯が前方向へ傾く

12歳臼歯の前方向への傾きは下の歯でみられることが多いです。下の12歳臼歯が前方向へ傾くと6歳臼歯(第一大臼歯)の根本部分に引っかかってしまうこともあり、膨らんだ部分を超えられなくなってしまってその場に居続けてしまうことがあります。
このような歯はブラッシング が行き届きにくく、むし歯をつくってしまう恐れがあるため、早期に改善することをおすすめします。また、親知らずがある場合、第2大臼歯の傾きを放置すると親知らずも被さるように傾いてしまう恐れがあり難易度が上がってしまうため早期の解決が必要です。
対応としては矯正装置を使用して傾きを解消する方法(アップライトと言います)があります。傾きが軽度の場合は比較的短期間の治療になりやすいですが、傾きが大きい場合は長期間の治療になる場合があります。

まとめ(12歳臼歯の問題)
1. 歯の位置異常は生活習慣に関係なく発生し、放置されやすく、早期発見と対処が大切。
2. 12歳臼歯に関する問題は、年齢的に子どもの口の中を把握しづらく見過ごされがちで、注意が必要。
3. 12歳臼歯の問題として、シザーズバイト(かみ合わせの問題)と前方向への傾きが挙げられ、早期の対処がおすすめ。
この記事を書いた人

かわべ歯科院長 歯科医師 川邉滋次
.png)




コメント