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天然甘味料「アガベシロップ」はむし歯の原因にならないの?

はじめに


アガベシロップとむし歯の関係

皆さんはアガベシロップという甘味料をご存じでしょうか?お菓子や飲み物、料理に白砂糖の代わりとして使用すると、「カロリーを抑えられる」「血糖値が上がりにくい」「食物繊維(イヌリン)を含んでいる」「天然の甘味料であるため身体によさそう」といった、健康を気づかう方にとって魅力的に聞こえるかもしれません。


しかし、本当にアガベシロップはメリットだけの魔法のような甘味料なのでしょうか?それとも、砂糖の代替品としての役割に疑問はないのでしょうか?


今回はアガベシロップに関する情報をまとめ、その身体への影響や、歯科の観点から虫歯になりやすいかどうかについて詳しく解説します。


▼目次


 

アガベシロップはどのようにして作られるの?


アガベシロップの原料となるのは「リュウゼツラン(竜舌蘭)」です。リュウゼツランは英語でagave(アガベ)と称され、多肉植物の一種です。


主に砂漠地帯に生息するこの植物は、メキシコをはじめとするアメリカ大陸に広く分布しています。暑さや寒さ、さらに乾燥にも強い性質を持ち、水を蓄えることができる厚い葉を有するため、砂漠のような厳しい環境でも生育することが可能です。



その葉は、側面にギザギザのトゲが特徴で、アロエと相似の外観を呈しています。


リュウゼツランの収穫
リュウゼツランの収穫

リュウゼツランには300種類以上のバリエーションがありますが、中でもブルーアガベ(別名アガベアスール)は、アガベシロップの主原料としてよく知られています。

リュウゼツランから樹液を抽出し、加熱して煮詰めることにより、特有のとろみのあるシロップが作られます。この天然の甘味料は、その甘さから広く使われるほか、テキーラ製造の原料としても用いられています。


アガベシロップ

アガペシロップの成分は?


アガベシロップの成分
アガベシロップの成分

アガベシロップの成分の大部分を果糖が占めています。ブドウ糖やショ糖(砂糖)も含まれていますが、果糖の含有量の方が多いことが特徴です。


アガペシロップは血糖値が上がりにくいのは本当?


グライセミックインデックス(GI)は、食後2時間にわたって血糖値がどれだけ上昇するかを数値化した指標です。GI値が高い食品は血糖値を急激に上昇させやすく、低い場合は血糖の上昇が緩やかです。


砂糖はブドウ糖と果糖が各50%の比率で結合しています。対照的にアガベシロップは果糖が80%以上を占め、ショ糖(砂糖)の含有率はわずか1.3%に過ぎません。


ブドウ糖のGI値は100とされていますが、果糖のGI値は20と非常に低いです。果糖はブドウ糖に比べて体内での吸収が遅いため、アガベシロップは低GIであり、血糖の上昇を穏やかにします。


アガベシロップの健康への心配な点は?


では、アガベシロップがいわゆる魔法のような甘味料であるかというと、そうとも言い切れません。果糖はブドウ糖と異なり、肝臓で脂肪へと変換される傾向があり、過剰な摂取は肝臓の病気を引き起こす原因となり得るとされています。体内で脂肪に変わる性質があるため、果糖の摂り過ぎは動脈硬化や脂肪肝のリスクを高める可能性があります。


つまり、砂糖の代わりに使用すること自体に問題はありませんが、「健康に良い」という理由だけでの過剰摂取は控えるべきです。


アガベシロップはむし歯の原因になるの?


虫歯と砂糖が密接に関連していると考える人は多いですが、虫歯の直接的な原因となるのは砂糖だけでなく「発酵性糖質」と呼ばれる炭水化物です。これは、細菌が分解して酸を生成する糖質の一種です。


発酵性糖質には、単糖類(ブドウ糖、果糖、異性化糖)、二糖類(ショ糖、乳糖、麦芽糖)、少糖類(オリゴ糖)、そして多糖類(デンプン、デキストリン)が含まれます。


糖の分類

前述の通り、アガベシロップの主成分は果糖であり、果糖は発酵性糖質に分類されるため、虫歯の原因となります。つまり、砂糖をアガベシロップに置き換えたとしても、虫歯予防には効果がありません。


この事実はアガベシロップに限らず、果汁100%のジュースにも同様に適用されます。


 

まとめ


1. アガベシロップの原料はリュウゼツランで、主にメキシコを中心とするアメリカ大陸の砂漠地帯に自生している。


2. ブルーアガベがアガベシロップの主要な原料で、その樹液を絞り、加熱してシロップを作る。


3. アガベシロップの主要成分は果糖で、GI値が低いため血糖値の上昇が緩やか。


4. アガベシロップの健康への心配点は、果糖が肝臓で脂肪に変換されやすいことである。そのため過剰摂取は控えるべき。


5. アガベシロップはむし歯の原因となるため、砂糖の代わりに使用してもむし歯予防効果はほとんどない。


 

この記事を書いた人


静岡県菊川市のかわべ歯科院長兼理事長で歯科医師の川邉滋次です。

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


 

参考文献


1. 松永藤彦, 島田卓興, and 稲津早紀子. "アガベシロップより分離された耐熱性好酸性菌の性状." 日本食品微生物学会雑誌 38.1 (2021): 9-12.


2. 小倉哲也, 小嶋良種. "アガべがら造られるテキーラ, イヌリンなどの製品およびイヌリンの研究経過報告." (2007).


3. ロバート・H ・ラスティグ著. 中里京子訳.果糖中毒-19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?. ダイヤモンド社 2018.



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