市販のジュースに入っている果糖ブドウ糖液糖ってなに?むし歯の原因にならないの?(異性化糖のお話)

前回は合成甘味料についてお話しさせていただきました。その際に定番の炭酸飲料と、0キロカロリーの炭酸飲料の比較をしましたが、定番の炭酸飲料の表示に砂糖の他に果糖ブドウ糖液と記載されています。この果糖ブドウ糖液糖は異性化糖の仲間で、市販の甘い飲み物の成分表示によくみられます。今回はこの異性化糖についてお話ししていきます。

1異性化糖って何?


異性化糖はトウモロコシやジャガイモ、サツマイモなどのデンプンから作られる、液体の食品添加物です。異性化糖は果糖の含有量で下記のように分類されます。


異性化糖は果糖の配合量でブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖に分類されます・
異性化糖の分類

トウモロコシと聞くと市販されているスイートコーンを想像しますが、ここでのトウモロコシはデントコーン(馬歯種コーン)とよばれる直接食べるのではなく、コーンスターチ(デンプン)や飼料の原料、バイオエタノールの生産に使用される品種を使用します。


異性化糖は砂糖と比べて「大量に生産できる」「溶かす手間がない」「輸送が便利」「保存がきく」ため飲料や加工食品に多く使われます。


清涼飲料水だけでなくソースなどにも異性化糖が入っています。その他にもめんつゆや焼肉のタレ、納豆のタレなどにも含まれています。
清涼飲料水だけでなくソースなどにも異性化糖が入っています

異性化糖は砂糖よりも価格が安いため、市販のジュースやスポーツドリンクなどの清涼飲料水、ドレッシングやめんつゆ、納豆のタレ、焼肉のタレなど多くの飲食品に配合されています。



2異性化糖はどのようにつくられているの?



デンプンを水と酵素で分解し、最小単位のグルコースにした後、異性化酵素で一部のグルコースをフルクトースに変換します。
デンプンから異性化糖ができるまで

トウモロコシなどに含まれるデンプンを酵素と水で細かく分解します。この結果、デンプンが最小単位であるブドウ糖の集まりになります。


このブドウ糖に異性化酵素を使用すると、ブドウ糖の一部が果糖に変わります。

このブドウ糖と変換された果糖の集まりが異性化糖です。



3ホットコーヒーや温かい紅茶にガムシロップを入れないのはなぜ?


異性化糖はガムシロップにも含まれていますが、ホットコーヒーや温かい紅茶にガムシロップを入れないのはなぜでしょうか?


コーヒーショップで冷たいものを注文するとガムシロップ、温かいものを頼むと砂糖が必要かを店員さんから聞かれることありますよね。


市販飲料でもペットボトル飲料のレモンティーでは成分表示に果糖ブドウ糖液糖と表示され、ホット専用のレモンティーでは砂糖と表示されていることが多いです。


この理由として「砂糖が低温で溶けにくい」「異性化糖の果糖が冷たい状態で甘さが引き立つ」ことが考えられます。


①砂糖が低温で溶けにくい


砂糖は高温では溶けやすいですが、低温で溶けにくい性質があります。


一方ガムシロップは、元々液体状になっているので低音のアイスコーヒーやアイスティーでも素早く溶けてくれます。


そのため、冷たい飲み物でも飲んだ時の砂糖のザラザラした感触はせず、美味しく飲むことができます。


②異性化糖の果糖が冷たい状態で甘さが引き立つ


異性化糖の中の果糖は、温度によって甘さが変わる性質があります。


果糖は40℃で砂糖と同じ甘さになりますが、40℃を越えると甘さが低下していきます。逆に40度より低いと甘さが強くなっていきます。


つまり飲み物が熱いと甘さを感じにくく、冷たいと甘く感じるのです。



4異性化糖のデメリットは?


異性化糖はむし歯の原因になります。その理由として砂糖の組成であるグルコースとフルクトースの構造が一緒のため、むし歯菌が代謝しやすくなっています。


米などに含まれる一般的な糖質はブドウ糖に分解され、血管を通って脳や筋肉など全身のエネルギーになります。つまりブドウ糖は運動すれば体中で簡単に燃焼されます。


一方、異性化糖の果糖は肝臓でしか代謝されないため、摂りすぎると肝臓に負担がかかります。消費されずたまってしまった果糖は、中性脂肪になり脂肪肝を引き起こします。


脂肪肝になるとメタボリック症候群や、動脈硬化、肝硬変など全身の病気や不調の大きな原因となります。


また果糖は血糖値を大きく上げないため、摂りすぎると血糖値を下げるためのインスリンが正しく働かなくなってしまう恐れがあります。その結果、血糖値が下がりにくくなってしまい、2型糖尿病の発生や進行に悪影響を与えることがあります。



5同じ果糖でも果物は大丈夫なの?


果物は、異性化糖の入った清涼飲料水などと比較すると、果糖含有量が少ないです。ビタミン類や食物繊維なども豊富に含まれているので、食物繊維の作用で果糖がゆっくり吸収できるため、適量を食べる分には問題ありません。ただし食べ過ぎは禁物です。



まとめ


①異性化糖はトウモロコシなどのデンプンから作られる、液体の食品添加物です。


②デンプンを分解し、ブドウ糖の集まりになったところで、異性化酵素を入れることでブドウ糖が一部果糖になる。このブドウ糖と果糖の集まりが異性化糖。


③異性化糖は、冷たい状態だと甘味を強く感じられるため、主に清涼飲料水などの冷たい飲食物や調味料に使われる。


④異性化糖の果糖は肝臓でしか代謝されないため、摂りすぎると肝臓に負担がかかります。消費されずたまってしまった果糖は、中性脂肪になり脂肪肝を引き起こし、メタボリック症候群や、動脈硬化、肝硬変など全身の病気や不調の大きな原因となります。



この記事を書いた人


静岡県菊川市のかわべ歯科院長兼理事長で歯科医師の川邉滋次です。

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


参考文献


①ロバート・H ・ラスティグ著. 中里京子訳.果糖中毒-19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?. ダイヤモンド社 2018.


②岡崎好秀.世界最強の歯科保健指導 上巻 -診療室から食育まで-.クインテッセンス出版株式会社 2017.

③新美寿英.お砂糖博士のほん糖学 初級 上級.2021

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