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もう「オエッ」としなくていい?歯医者の型取りが快適になる「デジタル型取り」の正体

▼目次


デジタルの型取り

はじめに-歯医者の型取りが苦手という方多いですよね?


「歯医者さんの型取り、あの粘土のような材料を口に入れられるのが苦手…」 そんな方にぜひ知っていただきたい技術があります。


先日、愛知県で開催された「デンタルショー」に参加してきました。これは先進の治療法や医療機器が集結する、歯科関係者のための大規模な展示会です。


 愛知デンタルショー2026
愛知デンタルショー2026
顔面用スキャナー
顔面用スキャナー

医療用3Dプリンター
医療用3Dプリンター

そこで改めて確信したのは、歯科医療のデジタル化が驚異的なスピードで進んでいるということです。 かつてはアナログが主流だった歯科界ですが、現在は以下のような技術が投入されています。


  • 口腔内スキャナー(デジタルで型取りをするカメラ)

  • CAD/CAMシステム(コンピューターで詰め物を設計する装置)

  • 医療用3Dプリンター(設計データから現物を作る)

  • 歯科用CT(お口を立体的に捉える3Dレントゲン)


では、なぜこれほどまでにデジタル化が進んでいるのでしょうか? それは、「治療の精度向上」「時間の短縮」「患者さんへの分かりやすさ」という3つの大きなメリットがあるからです。


今回は、これら先進技術の中でも、特に皆さんに身近な「型取り」をテーマに、デジタル化のメリット・デメリットをまとめてみました。



歯科のデジタル型取り(口腔内スキャナー)とは?


「口腔内スキャナー」と呼ばれる小型カメラを使い、お口の中を数分間スキャンするだけで、歯の形や歯並びを3Dデータ化できる先進の型取り方法です。


デジタル型取りで撮影した画像
デジタル型取りで撮影した画像 3Dで見ることが可能

従来の「ピンク色のねんど(印象材)」を使わないのが大きな特徴です。


デジタル型取りの7つのメリット


1. 「オエッ」とする不快感がほとんどない


専用カメラでなぞるだけなので、のどの奥に材料が入る感覚や、息苦しさがありません。吐き気を感じやすい方(嘔吐反射がある方)でも安心です。当院では、お子様の矯正検査にもこの方法を取り入れています。


小児矯正デジタル模型
小児矯正検査のデジタル模型 細かい部分の計測も可能

2. 従来よりも精度が高い


これまでの型取り材は、固まる際にわずかに「収縮」し、模型にする石膏は「膨張」するという性質がありました。デジタルならその心配がなく、より精密な詰め物・被せ物を作ることが可能です。デジタルの型取りはインプラントの上部構造(かぶせ物)の型取りにも使用されています。


3. 「やり直し」の負担が少ない


型取りに気泡が入ってしまった場合、従来は最初からやり直しでしたが、デジタルならその場でモニターを確認し、足りない部分だけをスキャンし直すだけで済みます。


4. 完成までの期間が短縮される


これまでは「型を取る→模型を作る→輸送する」という工程が必要でしたが、デジタルならデータを一瞬で技工所へ送信できます。その分、早く装置をお渡しすることが可能です。


5. 「健康な時のデータ」を保存できる


今の歯の形や色をデータで保管しておけば、将来もし歯が欠けたり失われたりしても、元の形を忠実に再現した被せ物を作ることができます。これはデジタルならではの「歯のバックアップ」です。


6. 治療後のイメージをシミュレーションできる


前歯の治療や矯正、ホワイトニングをする前に、「治療後のお顔の印象がどう変わるか」を画面上でシミュレーションできます。納得してから治療に進めるので安心です。


7. 環境に優しく、エコ


ゴミとなる型取り材や石膏を使わないため、廃棄物がほとんど出ません。


デジタル型取りのデメリットと「今」


今までは、デジタル型取りにも苦手な分野がありました。例えば「入れ歯」のように、歯ぐきの動く部分や凹凸が少ない広範囲のスキャンは、デジタルではズレが生じやすく、不向きだとされていたのです。


入れ歯のデジタル型取り
入れ歯のデジタル型取り(ハイブリッド法)

しかし、現在は技術の進歩により、入れ歯の製作もデジタルで可能になっています。

現在は、デジタルスキャンの利便性と、従来の精密な型取りを組み合わせた「ハイブリッド形式」などを採用することで、これまで以上にフィット感の良い入れ歯を作ることができるようになりました。



まとめ


  1. 従来の粘土のような型取り材を使わず、カメラのスキャンのみで「オエッ」とする苦しさを防げる。


  2. 材料の収縮や膨張といった誤差がないため、より精密で適合の良い詰め物や被せ物が作れる。


  3. データを即座に技工所へ送信できるため、模型の作成や郵送の手間が省け、治療完了までが早くなる。


  4. 歯の形をバックアップとして保存でき、治療後のシミュレーションで安心感を持って受診できる。


  5. 苦手とされていた入れ歯製作も技術進歩で可能になり、デジタルとアナログの融合でより快適に進化している。


デジタル技術の進化により、歯科治療は「痛くない・怖くない」だけでなく「不快感がない・より精密」なものへと進化しています。


これまで型取りが苦手で歯医者から足が遠のいていた方も、どうぞご安心ください。先進の「デジタル型取り」で、より快適で質の高い治療を提供してまいります。


監修者プロフィール


菊川市の歯科医院 歯科医師 川邉 滋次(かわべ しげつぐ)



参考文献


  1. 村井雄司, et al. "小児歯科における口腔内スキャナーの有用性." 小児歯科学雑誌 56.3 (2018): 367-374.


  2. 村上高宏, et al. "フルアーチインプラントケースにおける口腔内スキャナーを用いた光学印象法の三次元的精度の検討." 日本口腔インプラント学会誌 31.4 (2018): 338-345.


  3. 山崎史晃. 想像以上にパーフェクト デジタルデンチャーの時代がやってきた. 東京: インターアクション; 2023.

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