top of page

子供の噛み合わせが逆と言われたら?受け口の原因と放置リスクを解説

更新日:8月1日

はじめに-噛み合わせが逆になる受け口の発生率は1.8%


▼目次


受け口の原因と治療法

上下の歯を噛み合わせたときに、「下の前歯が上の歯より前に出ている状態」を専門用語で「反対咬合(はんたいこうごう)」、一般的には「受け口」と呼びます。

厳密には、3本以上の前歯の噛み合わせが逆になっている状態を指します。


反対咬合
反対咬合

受け口(反対咬合)の歯並びの異常は、成長途中のお子さんに多く見られ、早い場合は3歳頃から見られることがあります。発生率は約1.8%(平成28年度の歯科疾患実態調査:12歳〜20歳の調査対象107人)と50人に1人くらいの割合です。


受け口があると、上の歯列が重なりやすくなったり、前歯でうまく食べ物をかみ切れなかったりすることがあります。さらに、噛み合わせの負担が偏ることで、将来歯を失うリスクが高まり、80歳で20本以上の歯を保つ「8020運動」の達成率が0%になるという調査結果も報告されています。


また、横から見ると下あごが前に突き出て見え、顔の印象に影響を与えることがあります。他にも発音にも影響があり、「サ行」や「タ行」が「シャシュショ」「チャチュチョ」のように聞こえる傾向があります。


受け口の治療は、早い時期から始めることで成功率が比較的高くなる傾向があります。今回の記事では、噛み合わせが逆になっている「受け口(反対咬合)」の原因や治療法について解説していきます。この記事を見ていただき当てはまるお子様がいましたら早めにかかりつけの歯科医院に相談していただけたら幸いです。



受け口の矯正治療は早い時期に行ったほうが良い理由


大人になってからでも受け口の矯正治療は可能ですが、骨の成長が終わっているため、治療が難しくなることが多いです。


上あごは下あごよりも早く成長を始め、永久歯が生えそろう12歳頃には成長のピークを過ぎてしまいます。もしこの時期に前歯の噛み合わせが逆になっていると、上の前歯が下の前歯に押さえつけられてしまい、上あごの骨の成長が十分にできなくなります。


下あごに抑えられた上あごの骨の成長

下あごは思春期に大きく成長します。この時期に受け口を放置すると、下あごがどんどん成長していく一方で、上あごは十分に成長できず、顔の形が変わってしまいます。特に下あごの骨が大きく発達しすぎてしまった場合は、歯の矯正だけでは治療が難しく、口腔外科での手術が必要になることもあります。


受け口が自然に解消する確率は非常に低く、わずか6%


では、乳歯が生えている時期に受け口があった場合、永久歯が生え揃った際に自然に治ることはあるのでしょうか?実は、永久歯の前歯が生え変わるまでに自然に治る確率は約6%と非常に低いのが現実です。


そのため、「放っておけば自然に治るだろう」と考えるのは危険です。治療のタイミングを逃してしまうと、将来的により大きな治療や手術が必要になることもあります。


受け口の原因は?


受け口の直接的な原因として、「歯の生える位置や向きの問題」「上あごの成長不足」「下あごの過度な発達」「下あごを前に出すクセ」があります。そしてさらに根本的な原因として「舌の位置が低い」「遺伝」があります。


<受け口の直接的な原因>


1. 歯が生える位置や向きの問題


  • 上の前歯が本来の位置より内側(口の中の奥の方)に生えている

  • 下の前歯が前に出て生えていたり、傾いている


このどちらか、または両方が原因で、前歯の噛み合わせが逆になってしまうことがあります。


2. 上あごの成長不足や下あごの発達が強すぎる


  • 上あごが十分に前に成長しない

  • 下あごの骨が大きく成長しすぎる


この場合、顔の骨のバランスが崩れて反対咬合になることがあります。


3. 下あごを前に出すクセがある


  • まだ乳歯が生えそろっていない3歳未満のお子さんで、下あごを前に突き出して噛むクセがある場合があります。こうしたクセで一時的に受け口のように見えることがあるので、かかりつけの歯科医院で確認することが大切です。


<受け口の根本的な原因>


これらの目に見える原因の背景には、受け口の根本的な原因が2つあります。


1. 舌の位置が低い(舌が下がっている) 


正しい舌の位置は、口を閉じた時に舌が上あごに触れていることです。 しかし、扁桃腺の腫れや鼻づまりで口呼吸になる、舌の筋(舌小帯)が短い、上あごが狭くて舌が置けないなどの理由で、舌が下がってしまうことがあります。 舌が下がると、下あごが前に出て成長しやすくなり、受け口の原因となります。


2. 遺伝 


家族に反対咬合の方がいる場合、お子さんも下あごが大きく成長しやすい傾向があります。 小学生の時に矯正治療で噛み合わせが治っても、成長期に再び下あごが大きく成長し、反対咬合になってしまう恐れがあります。 


日本人は受け口になりやすい!?


海外の方と比べると、日本人の顔は鼻が小さく平面的なイメージがありませんか?

これは日本人の顔の骨格の特徴で上あご部分が成長しにくいからです。


さらに日本人は口呼吸をしている人の割合が多いです。口呼吸があると上あごの成長不足になりやすいため、上あごと下あごのアンバランスが起こり噛み合わせが逆になる受け口になりやすいと言われています。


かみ合わせが浅いタイプの受け口の治療が難しい理由


一見、噛み合わせが深い受け口の方が、見た目的に難しそうと感じてしまいますが、一般的に噛み合わせが浅い方が治療が難しいとされています。

前歯の関係を改善するために上の前歯を前方に押し出すと、歯が前に傾きます。そのため歯の高さが低くなり、噛み合わせは浅くなります。


・深いかみ合わせの治療 →正常に近くなる

・浅いかみ合わせの治療 →前歯部分が開いてくる


となるわけです。また前歯部分が開いている場合、上の前歯を前に押し出せても後戻りしやすくなります。そのため、浅いかみ合わせの方が治療の難易度は高くなりやすいのです。


幼児〜小学生までの受け口の診断と治療方法


<診断方法>


セファログラム
セファログラム(イメージ)

1. 横顔のレントゲン写真(セファログラム)を撮って、上下のあごの骨の成長具合を詳しく調べます。


2. 下あごを引いてもらった状態でも前歯の噛み合わせが逆になっているかを確認します。


<治療方法>


受け口は、できれば乳歯列期(3歳)〜混合歯列期(11歳)の治療を推奨します。


ここからは、当院の受け口(反対咬合)治療症例を4症例ご紹介しながら説明していきます。


乳歯列の時は、既成のマウスピース装置を使用して治療を始めます。マウスピースは鼻呼吸を促し、舌を正しい位置に戻す働きがあり、上あごの成長をサポートします。


乳歯の反対咬合治療

他にも上顎牽引装置(じょうがくけんいんそうち)とよばれる上のあごを前に引っ張る装置を使用して上あごの成長を促す治療やムーアプライアンスと呼ばれる反対咬合の矯正装置を使用していく場合があります。


上顎牽引装置
上顎牽引装置( 夜間のみ使用)

ムーアプライアンス
ムーアプライアンス

永久歯の前歯が生え出してくる頃になると、矯正装置を併用することも検討していきます。

また、前歯の位置や傾きが原因である場合には、前歯を前方向に押していきます。上あごの成長不足が原因の場合は、上あごを矯正装置で前に成長させる方法があります。


混合歯列期の反対咬合治療


受け口の治療

反対咬合と受け口を治療する

前歯の噛み合わせは早めに介入すると改善しやすい一方、前歯が改善されただけで満足してしまい歯の生え変わり時期に放っておくと、反対咬合が再発することもあるため、骨の成長が落ち着くまで(男の子だと14歳くらい・女の子だと12歳くらい)は引き続き歯並びと噛み合わせを維持することが必要になる場合が多いです。


下あごの骨が著しく成長している場合には、一期矯正(永久歯が生えそろうまでの矯正)だけでは難しい場合が多いです。そのため、「将来の外科手術を利用した矯正治療を回避すること」を目標に、上のあごを引っ張って成長させ、ブラケット装置等の二期矯正(成人矯正)を計画する場合があります。



まとめ


1. 受け口は前歯の噛み合わせが逆になる状態で、発見した際には歯科医院に早めに相談することをお勧めする。


2. 受け口の自然治癒率は6%と低いため放置しない方が良い。


3. 直接的な原因として「歯の生える位置や傾き」「上あごの成長不足」「下あごの過度な発達」「あごを前に出すクセ」がある。


4. 根本的な原因として「舌が下がっている」「遺伝」が挙げられる。


5. 受け口を少しでも予防するには、「原因となるクセを除去する」ことが大切。


6. 受け口は早期改善後も再発防止のため成長期まで管理が必要で、下顎の成長が大きい場合は上顎成長促進と二期矯正を組み合わせて将来の外科手術回避を目指していく。



この記事を書いた人


菊川の一般歯科と矯正歯科、小児歯科の歯医者さん。

医療法人社団 統慧会 かわべ歯科(静岡県西部地方のJR東海道線菊川駅が最寄り)

理事長 川邉滋次(歯医者さん 小児矯正と予防歯科を中心に行なっています)



参考文献


1. 竹内史江, et al. "Dental Prescale® を用いた 8020 達成者の咬合調査." 2005.


2. 菊池 誠, 鼻呼吸機能と反対咬合 機能は形態を整える, 東京臨床出版株式会社, 2022.


3. 相馬邦道, et al. 歯科矯正学 第5版. 医歯薬出版. 2010.


4. 町田幸雄. 乳歯列期から始めよう咬合誘導, 一世出版, 2006.

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。

Copyright kawabeshika All Right Reserved.

bottom of page