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自分では気づかない口臭の原因とは?歯科医が検査と対策を詳しく解説

▼目次

はじめに-他人の口臭は気になるのに、自分では気づきにくいのはなぜ?


口臭対策

「朝起きると口の中がネバネバする。」

「家族や周りの人に口臭を指摘されたことがある。」

「人と話すときに口臭が気になる。」

「歯みがきをしているのに口臭が改善しない。」

このようなお悩みはありませんか?


実は、口臭の多くはお口の中に原因があるといわれています。歯周病や舌の汚れ、口の乾燥などが主な原因であり、適切なケアによって改善できるケースも少なくありません。


一方で、人間の嗅覚には「順応」という性質があり、同じニオイを嗅ぎ続けると慣れてしまうため、自分自身の口臭には気づきにくいことがあります。反対に、実際にはほとんど口臭がないにもかかわらず、「自分は臭っているのではないか」と過度に不安を感じてしまう方もいます。


口臭は人に相談しづらい悩みの一つです。近年では「スメルハラスメント(スメハラ)」という言葉も広く知られるようになり、自分の口臭を気にする方も増えています。そのことは、次の調査結果からもわかります。



2025年3月に大正製薬が20〜40代の女性を対象に実施したインターネット調査では、異性のニオイで最も気になるものとして「口臭」が第1位(42.4%)でした。


「女性が男性のニオイで気になること」の棒グラフ。口臭42.4%が最多、タバコ38.1%、加齢臭35.2%、汗34.8%、わき31.4%が並ぶ。

だからこそ大切なのは、原因が分からないままマウスウォッシュやガムなどで対処するのではなく、まず「なぜ口臭が起こっているのか」を知ることです。


歯科医院では、口臭測定やお口の状態の確認、必要に応じて細菌検査や唾液検査などを行い、口臭の有無や原因を客観的に調べることができます。


この記事では、

  • 口臭の本当の原因

  • 臭いの元になる3つのガス

  • 歯科医院で行う口臭検査

  • 今日から始められる効果的な口臭対策

について、歯科医の立場からわかりやすく解説します。



あなたはどれ?口臭には4つの種類があります


口臭には、誰にでも起こるものと、病気が原因となるものがあります。


また、実際には口臭がほとんどないにもかかわらず、「自分は口臭がある」と強く思い込んでしまうケースもあります。


適切な対策を行うためには、まず自分がどのタイプに当てはまるのかを知ることが大切です。歯科では、口臭を次の4つに分類しています。


口臭の4つの種類を紹介。生理的口臭、病的口臭、仮性口臭症、口臭恐怖症を4分割で図解。

1. 生理的口臭


生理的口臭は、起床時や空腹時、緊張しているときなど、誰にでも起こる自然な口臭です。女性では、ホルモンバランスの変化により、生理期間中に口臭が強くなることがあります。加齢による老人性口臭も生理的口臭に分類されます。


朝は唾液が少なく細菌が増えるため、一時的に口臭が強くなります。朝食や歯みがきで唾液が増えると、口臭は自然に弱くなります。


このように、生理的口臭は時間帯によって変化するのが特徴です。そのため、口臭検査で改善前後を比較する場合は、できるだけ同じ時間帯に測定することが大切です。


時間帯による口臭の変化を示すグラフ。朝食前が最強で朝食後に弱まり、昼食前にやや強まり、昼食後に弱く、夕食前に少し上がる。

2.病的口臭


病的口臭は、歯周病や進行したむし歯、舌苔(ぜったい)、副鼻腔炎、糖尿病などが原因となって起こる口臭です。


なかでも最も多い原因は歯周病です。口臭が続く場合は歯科医院で原因を調べることをおすすめします。


子どもでは病的口臭は比較的少ないとされていますが、歯肉炎や副鼻腔炎、扁桃炎などが原因となることがあります。


3.仮性口臭症


仮性口臭症とは、実際には社会生活で問題となるほどの口臭はないにもかかわらず、自分には口臭があると思い込んでしまう状態です。


相手が鼻を触ったり、少し距離を取ったりしたことを「自分の口臭が原因ではないか」と受け取ってしまい、不安が強くなることがあります。


このような場合は、歯科医院で口臭検査を受け、客観的に口臭の有無を確認することが大切です。


4.口臭恐怖症


口臭恐怖症は、口臭検査で問題がないことを説明されても、「自分は口臭がある」という不安が強く続く状態です。


必要に応じて、心療内科などの医療機関と連携しながら治療を進めることがあります。


口臭はどこから発生するの?主な5つの原因


1. お口


口臭の約8〜9割は、お口の中に原因があるといわれています。


なかでも最も多い原因は歯周病です。歯周病による膿や、むし歯、舌苔(ぜったい)、入れ歯の汚れなどが口臭の原因となります。


また、お口のケアが十分でないとプラーク(歯垢)がたまり、歯肉炎や歯周病が進行して口臭が強くなることがあります。


一方で、お口の中がきれいでも、精神的な緊張やストレスによって唾液の分泌が減少すると、お口の自浄作用や消臭機能が低下し、一時的に口臭が強くなることがあります。


2. のど


のどでは、扁桃炎や扁桃腺のくぼみにたまる膿栓(いわゆる「臭い玉」)が口臭の原因になることがあります。


特に子どもでは、扁桃炎や口呼吸が関係して口臭が生じることがあります。


3. 体


口の中以外が原因となる口臭もあります。


例えば、糖尿病ではアセトン臭、腎機能の低下ではアンモニア臭、肝機能障害では独特の甘酸っぱい臭いが現れることがあります。また、副鼻腔炎では鼻やのどにたまった膿が口臭の原因になることがあります。


歯みがきをしても口臭が改善しない場合は、お口以外に原因が隠れている可能性もあります。


4. 食べ物


ニンニクやニラ、ネギなどに含まれる硫黄化合物は、血液中に吸収された後、肺から吐く息として排出されるため、一時的な口臭の原因になります。


このような食べ物による口臭は病気ではなく、時間の経過とともに自然に軽減していきます。


5. 心理面


実際には口臭がほとんどないにもかかわらず、「自分は口臭がある」と強く思い込んでしまう方もいます。


思春期やストレスの多い時期は、周囲の何気ない仕草や表情を「自分の口臭が原因ではないか」と受け取ってしまうことがあります。


このような場合は、一人で悩まず、歯科医院で口臭検査を受けて客観的に確認することが大切です。


 口臭の主な臭い成分は3種類


口臭の主な原因となる臭い成分は、「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」の3種類です。これらはいずれも硫黄を含むガスで、VSC(揮発性硫黄化合物:Volatile Sulfur Compounds)と呼ばれています。


これらのガスが混ざり合うことで、不快な臭いになります。


口臭の原因となる臭い物質3つ。硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドを説明。

1 . 硫化水素(卵が腐ったような臭い)


硫化水素は、生理的口臭で最も多くみられる臭い成分です。朝起きた直後や空腹時など、お口が乾燥して唾液が少なくなると増えやすくなります。


東京都内の高校3年生474人を対象とした調査では、約40%に口臭が認められ、「朝食を食べない」「プラークが多い」「舌苔が付着している」こととの関連が報告されています。


生理的口臭の主な原因は、お口の乾燥と舌苔(ぜったい)です。


舌苔
舌苔(ぜったい) 舌の上部が黄色くなっています

舌苔とは、舌の表面につく白っぽい汚れです。細菌や食べかすなどが混ざってできており、唾液が少ない方や脱水状態では厚くなりやすく、口臭の原因になります。


2 . メチルメルカプタン(腐った野菜のような臭い)


メチルメルカプタンは、歯周病と深く関係する臭い成分です。歯周病菌がお口の中のたんぱく質を分解することで発生し、強い口臭の原因になります。


歯周病がある方は、健康な方と比べて約3.16倍口臭が強いことが報告されています。


歯周病による口臭は一時的ではなく、原因を治療しない限り続きやすいことが特徴です。

そのため、歯みがきだけでなく、歯科医院で歯周病治療を受けることが大切です。


3 . ジメチルサルファイド(生ごみのような臭い)


ジメチルサルファイドは、生ごみが腐ったような臭いを持つ成分です。


口の中で作られることもありますが、肝機能障害や消化器疾患など全身の病気が原因となることもあります。


歯みがきをしても改善しない口臭が続く場合は、お口の中だけでなく全身の病気が関係している可能性もあるため、必要に応じて医科への受診も検討しましょう。


歯科医院ではどのような口臭検査をするの?


口臭の原因は一つではありません。そのため、歯科医院では口臭の有無だけでなく、「なぜ口臭が起きているのか」を調べるために、いくつかの検査を組み合わせて行います。


1. カウンセリング


まずは、「いつ頃から口臭が気になり始めたのか」「どのような場面で気になるのか」「ご家族や周囲から指摘されたことがあるか」などをお伺いします。


また、口臭によって日常生活や人間関係で困っていること、不安に感じていることなども確認し、原因や心理的な要因を整理していきます。


カウンセリングシート

2. 口臭測定


口臭の主な原因となるVSC(揮発性硫黄化合物)の濃度を専用の口臭測定器で測定します。


以前は袋にためた息を人が嗅いで評価する方法も行われていましたが、現在では専用機器による客観的な測定が主流となっています。


歯科用口臭測定器
歯科用口臭測定器

3. 細菌検査


舌や唾液、プラーク(歯垢)に含まれる細菌の種類や数を調べます。


歯周病菌が多く検出された場合は歯周病治療を、舌の細菌が多い場合は舌清掃など、それぞれの原因に合わせた治療やセルフケアをご提案します。


4.唾液検査


唾液には、お口の中を洗い流したり細菌の増殖を抑えたりする働きがあります。そのため、唾液の分泌量が少ないと口臭が強くなりやすくなります。


唾液検査では、唾液の量を測定し、口臭の原因として口の乾燥が関係していないかを確認します。


洗口液(マウスウォッシュ)は口臭対策になるの?


マウスウォッシュは、一時的に口臭を抑える効果が期待できます。ただし、口臭の原因となるプラークや舌苔を取り除くことはできません。


歯みがきや舌の清掃を行った後に補助的に使用することで、より効果的な口臭対策になります。


歯だけじゃない!舌のお掃除忘れていませんか?


舌の表面につく舌苔(ぜったい)は、口臭の原因となる細菌が多く集まる場所です。しかし、日本で舌を清掃する習慣がある人は約5人に1人にとどまっています。


舌の清掃を行なっている者の割合、出典平成28年歯科疾患実態調査
出典:平成28年歯科疾患実態調査

口臭が気になる方は、歯みがきに加えて舌のお手入れも取り入れてみましょう。舌を磨くときは、歯ブラシではなく毛先がやわらかい舌ブラシがおすすめです。舌は傷つきやすいため、奥から手前へやさしく一方向に動かして清掃しましょう。


(舌ブラシの使い方)

  • 起床後に使用する

  • 奥から手前へやさしく動かす

  • 水でぬらして使用する

  • 使用後は洗って乾燥させる

  • 舌苔がない日は無理に磨かない


舌ブラシ
舌ブラシ 舌苔をやさしく取り除きます

舌みがきは味覚にもメリットがあります


舌苔が厚く付着すると、味を感じる味蕾(みらい)が覆われ、味を感じにくくなることがあります。その結果、濃い味を好むようになる場合もあります。舌苔をやさしく取り除くことで、本来の味を感じやすくなることが期待できます。


味蕾のある舌の断面図。葉状乳頭・有郭乳頭・茸状乳頭を示し、各部位の説明。

やわらかいものばかり食べたり、早食いをしたりすると、舌を動かす機会が減り、舌苔がたまりやすくなります。よく噛んで食べることや、舌を動かすトレーニングを取り入れることも、舌苔の予防につながります。


市販の口臭チェッカーは正確なの?


市販の口臭チェッカーは、周囲のにおいや測定方法の影響を受けやすく、結果が変わることがあります。そのため、測定値だけで口臭の有無や強さを正確に判断することはできません。


口臭が気になる場合は、市販の測定器の数値に一喜一憂せず、歯科医院で原因を調べることをおすすめします。



まとめ


  1. 口臭の約8〜9割はお口の中が原因


  2. 主な原因ガスは3種類(VSC)


  3. 歯周病・舌苔・口の乾燥が代表的な原因


  4. 市販の口臭チェッカーは参考程度


  5. 口臭が続く場合は、歯科医院で原因を調べることが大切



この記事を書いた人


菊川市の歯医者かわべしげつぐ

かわべ歯科 歯科医師 川邉滋次



参考文献


1 . Club Sunstar. 9割以上が…?!アンケートでわかった無意識"スメハラ"の真実.2019 .https://www.club-sunstar.jp/article/column/oral/2265/


2. 宮崎秀夫.口臭症分類の試みとその治療必要性. 新潟歯誌;29: 11-15, 1999.


3. Yokoyama, Sayaka, et al. "Oral malodor and related factors in Japanese senior high school students." Journal of School Health 80.7 (2010): 346-352.


4. Shinada, Kayoko, et al. "Effects of a mouthwash with chlorine dioxide on oral malodor and salivary bacteria: a randomized placebo-controlled 7-day trial." Trials 11.1 (2010): 1-11.


5. Silva, Manuela F., et al. "Is periodontitis associated with halitosis? A systematic review and meta‐regression analysis." Journal of clinical periodontology 44.10 (2017): 1003-1009.


6. 厚生労働省. 平成28年歯科疾患実態調査. https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-28.html

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