歯のクリーニングは痛い?怖い?痛みを抑えて着色も落とせる「エアフロー」とは?
- 歯科医師 川邉滋次

- 6月17日
- 読了時間: 7分
▼目次

はじめに-歯のクリーニングが痛くないか不安な方に
「歯石取りが痛かった経験がある」
「キーンという音が苦手」
「知覚過敏でクリーニングが怖い」
「着色だけ落としたいのにガリガリ削られるのは嫌」
このような理由から、定期的なクリーニングを避けてしまう方は少なくありません。
しかし近年は、水と微細なパウダーで歯の汚れや着色を落とす「エアフロー」という方法が広く普及しています。
従来よりも痛みや不快感が少なく、歯や歯ぐきへの負担を抑えながらクリーニングできることから、近年注目されているクリーニング方法です。
本記事では、エアフローの特徴やメリット・デメリット、どのような方に向いているのかを歯科医師が分かりやすく解説します。
エアフロークリーニングとは?

エアフローとは、水・空気・超微粒子パウダーをジェット噴射し、歯の表面や歯周ポケット付近に付着したバイオフィルムや着色汚れを効率よく除去するクリーニング方法です。
従来のように器具で歯をこすり落とす方法とは異なり、歯や歯ぐきへの負担が少なく、痛みを感じにくいことが大きな特徴です。

なぜ今、エアフローが世界中で注目されているのか?
エアフローの技術自体は2000年頃から存在していましたが、当時は「粉がザラつく」「塩辛い味が残る」など、快適性の面で課題がありました。
その後、グリシンやエリスリトールなどの微細なパウダーが開発され、歯や歯ぐきへの負担を抑えながら効率よくバイオフィルムや着色汚れを除去できるようになりました。

近年では、欧州歯周病学会(EFP)の考え方をもとに、スイスEMS社が提唱する「Guided Biofilm Therapy(GBT:ガイデッド・バイオフィルム・セラピー)」が世界中の予防歯科で普及しています。エアフローはGBTの中心的な処置として位置づけられており、欧州をはじめ多くの歯科医院で導入されています。
日本でも予防歯科への関心が高まるにつれ、従来の歯石除去だけでなく、バイオフィルムを効率よく除去するメンテナンス方法としてエアフローを導入する歯科医院が増えています。
エアフローだけで歯石は取れるの?
「エアフローだけで歯石もすべて取れるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃいます。

エアフローは、むし歯や歯周病の原因となるバイオフィルム(細菌の膜)や、コーヒー・紅茶・タバコなどによる着色汚れ(ステイン)の除去を得意とするクリーニング方法です。
一方で、歯に硬く付着した歯石を取り除くことは苦手なため、歯石が多く付着している場合には、超音波スケーラー(超音波振動で歯石を除去する器具)などを併用して除去します。
そのため現在では、まず歯石を除去し、その後にエアフローでバイオフィルムや着色汚れを取り除く方法が、予防歯科におけるメンテナンスとして広く行われています。
エアフロークリーニング 4つのメリット

1. 歯や歯ぐきへの負担が少なく、痛みを感じにくい
エアフローは、超微粒子パウダー・水・空気を利用して歯の表面を清掃するため、歯に器具を強く押し当てる必要がありません。知覚過敏の方や歯ぐきが敏感な方でも、比較的痛みや刺激を感じにくいクリーニング方法です。
2. バイオフィルムを効率よく除去できる

むし歯や歯周病の原因となるバイオフィルムは、歯ブラシだけでは完全に取り除くことが難しい場合があります。
エアフローは、歯と歯の間や歯周ポケット付近、奥歯の溝など細かい部分にもパウダーが届くため、効率よくバイオフィルムを除去できます。
3. コーヒーや紅茶などの着色汚れ(ステイン)を短時間で除去
コーヒー、紅茶、緑茶、赤ワイン、タバコなどによる着色汚れは、通常の歯磨きでは落ちにくいことがあります。エアフローは、このようなステインを短時間で除去し、歯本来の自然な白さを取り戻すのに役立ちます。
4. 矯正装置やインプラント周囲も清掃しやすい
ワイヤー矯正装置の周囲やインプラント周囲は、通常の器具では清掃しにくい場所です。エアフローは細かい隙間にも届きやすく、磨き残しが起こりやすい部分のメンテナンスにも適しています。
さらに、超音波スケーラーのような「キーン」という音や「ガリガリ」とした振動が少ないため、歯科治療が苦手な方でも比較的リラックスして受けやすいことも大きな特徴です。
知っておきたいデメリットと注意点
エアフロークリーニングは、歯や歯ぐきへの負担が少ない安全性の高いクリーニング方法ですが、すべての方に適応できるわけではありません。安心して施術を受けていただくために、事前に知っておきたい注意点があります。
1.呼吸器疾患やアレルギーのある方
気管支ぜんそくなどの呼吸器疾患がある方や、使用するパウダー成分にアレルギーがある方は、施術を受けられない場合があります。持病や気になる症状がある場合は、事前に歯科医師へご相談ください。
2.妊娠中の方
妊娠中でも口腔ケアは大切ですが、お口の状態や体調を考慮し、歯の表面のクリーニングを中心に行う場合があります。安全性を第一に考え、無理のない範囲で施術を行います。
3.硬い歯石は別の器具が必要なことも
エアフローはバイオフィルムや着色汚れの除去を得意としていますが、長期間付着して硬くなった歯石は、超音波スケーラーなどを併用して除去する場合があります。
4.施術後の注意点
クリーニング直後の歯は、一時的に着色しやすい状態になります。そのため、施術後2時間程度はコーヒー、紅茶、赤ワイン、カレーなど色の濃い飲食物や喫煙はできるだけ控えることをおすすめします。
エアフローとホワイトニングの違い

エアフローとホワイトニングは、どちらも歯をきれいにする処置ですが、目的が異なります。
エアフローは、歯の表面に付着した着色汚れやバイオフィルムを除去し、本来の歯の色を取り戻すクリーニングです。
一方、ホワイトニングは専用の薬剤を使用して歯の内部の色素を分解し、歯そのものを現在の色よりも白くする治療です。
「コーヒーや紅茶の着色を落としたい」という方にはエアフローが適しており、「もっと白い歯を目指したい」という方にはホワイトニングが適しています。
定期的なメンテナンスで健康な歯を守る
エアフロークリーニングは、着色汚れを落とすだけでなく、むし歯や歯周病の原因となるバイオフィルムを効率よく除去できるため、予防歯科において重要なメンテナンス方法の一つです。
一般的なメンテナンスの目安は以下のとおりです。
健康なお口を維持したい方:3〜6か月に1回
歯周病のリスクが高い方や矯正治療中、インプラントを受けている方:1〜3か月に1回
患者さんのお口の状態によって適切な間隔は異なるため、歯科医師や歯科衛生士と相談しながら継続することが大切です。
「歯石取りが痛くて苦手」「コーヒーや紅茶の着色が気になる」「矯正装置の周りをきれいにしたい」といったお悩みがある方は、一度エアフロークリーニングをご相談ください。お口の状態を確認したうえで、一人ひとりに適したメンテナンス方法をご提案いたします。
まとめ
歯石取りが苦手な方にも受けやすいクリーニング方法
コーヒー・紅茶・タバコによる着色除去に効果的
むし歯・歯周病の原因となるバイオフィルムを除去
矯正中やインプラント周囲の清掃にも適している
硬い歯石は超音波スケーラーを併用して除去する
定期的なメンテナンスでお口の健康維持につながる
監修者プロフィール
静岡県菊川市の歯科医院 かわべ歯科 歯科医師 川邉滋次
歯石取りの痛みが苦手な方や、コーヒー・紅茶・タバコによる着色汚れが気になる方は、エアフロークリーニングが適している場合があります。ご自身のお口の状態に合ったクリーニング方法について、お気軽にご相談ください。
参考文献
1.佐藤かおり, et al. "噴射切削装置 Whisper-jet (KCP1000) の臨床応用に関する研究 第二報 人工的に軟化させた象牙質に対する噴射切削効果." 日本歯科保存学雑誌 43.2 (2000): 547-554.
2.Bühler, J., et al. "A systematic review on the effects of air polishing devices on oral tissues." International journal of dental hygiene 14.1 (2016): 15-28.
3.Barnes, Caren M., et al. "An in vitro comparison of the effects of various air polishing powders on enamel and selected esthetic restorative materials." J Clin Dent 25.4 (2014): 76-87.
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