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フッ化物入り歯みがき剤の濃度基準が2023年1月に変わりました!

更新日:2月17日

はじめに


フッ化物が配合された歯磨き粉の研究は世界中で行われており、むし歯予防に高い効果が報告されています。

→むし歯についての詳しい内容はこちら


日本でも2012年に母子健康手帳に「フッ化物についての質問事項」が追加、2017年にはフッ化物入り歯磨き粉のフッ化物イオン濃度の上限が1,500ppmまで引き上げられ、1,450ppmの歯磨き粉が歯科医院やドラッグストアに並んでいます。


そして2023年1月に主に幼児〜小学生でフッ化物入り歯みがき剤の推奨される濃度の基準が変更になりました。


今回はフッ化物を適切に使用していただけるように2023年の変更点とフッ化物についてまとめてみました。


▼目次

フッ化物の働きは?

2023年1月の変更で何が変わったの?

フッ化物入り歯磨き粉使用後の大量ゆすぎはNG!?

むし歯になりやすい歯、人のタイプは?

フッ化物の安全性

まとめ

参考文献

 

フッ化物の働きは?


フッ化物の働きは4つあり、


1. 歯の修復を早くする(再石灰化)

2. 歯が溶けるスピードを遅くする

3. 歯を強くする

4. 細菌の活動をジャマする


このような働きによってむし歯の進行を遅らせます。


フッ化物の効果を十分に得るには、フッ化物入り歯磨き粉でブラッシングし、お口の中にフッ化物がある状態をキープすることが必要です。フッ化物濃度1000ppmで約23%、1500ppmで約30%のむし歯予防効果が期待されます。


フッ化物は歯が届きにくい部位にも有効なため、子どもから高齢者の方まで幅広い年代の方に使用していただくことをおすすめします。


特にフッ化物入り歯磨き粉は世界で15億人以上に利用されており、日本では2020年歯磨き粉の中で92%のシェアを誇っています。


2023年1月の変更で何が変わったの?


(歯が生え始めた〜2歳の場合)


従来は500ppmが上限でしたが1,000ppmまで引き上げられました。

フッ化物入り歯磨き粉の濃度は1,000ppm(市販だと950ppmが多いです)、使用量は1〜2ミリ。1日に2回(寝る前を含む)歯みがきで使用し、気になるようであれば歯磨き後にティッシュで軽く拭き取っても大丈夫です。


乳児は歯ブラシ使用が難しいので、ガーゼやコットンを使っていただいても構いません。


保管は子どもの手が届かない場所に保管し、歯磨き方法は「歯科医師」「歯科衛生士」のアドバイスを受けてください。


(3〜5歳の場合)


こちらも従来は500ppmが上限でしたが1,000ppmまで引き上げられています。

フッ化物入り歯磨き粉の濃度は1,000ppm、使用量は5ミリ。1日に2回(寝る前を含む)歯みがきで使用し、気になるようであれば「つばで軽く吐き出す」「少量の水で1回のみゆすぐ」ことは可能です。


(6歳〜大人・高齢者の場合)


以前は1,000ppmが上限でしたが、2023年からは1,500ppmに変更になっています。

フッ化物入り歯磨き粉の濃度は1,500ppm(市販だと1450ppmが多いです)、使用量は2センチ。1日に2回(寝る前を含む)歯みがきで使用します。インプラントやチタン冠が入っていても日本で販売されているフッ化物入り歯磨き粉であれば使用できます。


フッ化物入り歯磨き粉使用後の大量ゆすぎはNG!?


ここでせっかくフッ化物をお口の中に取り込んだのに、たっぷりのうがいで大半を流してしまうことがあります。「計量カップ大さじ1杯分(15ml)くらいの水で約5秒くらいの軽い1回のゆすぎ」にして、フッ化物をきちんとお口の中にキープしてむし歯予防効果を高めていきましょう。


むし歯になりやすい歯、人のタイプは?


生え始めたばかりの永久歯は、硬さが中途半端でみがきにくいため、むし歯になりやすいです。フッ化物入りの歯磨き粉を使用した予防方法をおすすめします。


他にもドライマウス(お口の中が乾燥する)、矯正治療中、仕事でどうしても糖や酸を飲食する回数が多い、手が不自由でブラッシングが難しい方などは、むし歯のリスクが高いため、フッ化物入り歯磨き粉にプラスしてフッ化物入りうがい液などのケアもおすすめです。

ドライマウスについての詳細


フッ化物の安全性


子どもにフッ化物を使用することを不安に思う親御さんもいらっしゃると思います。

ここで大事なことは「年齢や歯の生える状況に合わせたフッ化物の濃度」を知ることです。


5歳以下の幼児は、体重あたりのフッ化物量が多くなると、歯のフッ素症(歯に白や茶色の斑点が出る症状)を起こす恐れがあるため、子ども用(約1,000ppm)のフッ化物入り歯磨き粉の使用をおすすめしています。


高校生以上になると、歯のフッ素症の心配がなくなるため、日本で販売許可されている高濃度のフッ化物入り歯磨き粉を使用することが可能です。

 

まとめ


①フッ化物はむし歯の進行を遅らせる効果があり、フッ化物入り歯磨き粉は世界でも幅広く利用されている。


②5歳以下の幼児は、フッ化物濃度による歯のフッ素症を起こさないためにも、約1,000ppmのフッ化物入り歯磨き粉をおすすめする。


③フッ化物入り歯磨き粉でブラッシングした後の多めのうがいはNG。


④むし歯のリスクが高い歯、人ほどフッ化物での予防は必要。


 

この記事を書いた人





かわべ歯科 歯科衛生士スタッフ


 

参考文献


① FDI World Dental Federation.Caries prevention and management chairside guide.2017.

https://www.fdiworlddental.org/caries-prevention-and-management-chairside-guide


②Buzalaf, Marília Afonso Rabelo, et al. "Mechanisms of action of fluoride for caries control." Fluoride and the oral environment 22 (2011): 97-114.


③Wright, J. Timothy, et al. "Fluoride toothpaste efficacy and safety in children younger than 6 years: a systematic review." The Journal of the American Dental Association 145.2 (2014): 182-189.


④4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法. 一般社団法人 日本口腔衛生学会, 公益社団法人 日本小児歯科学会, 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会, 一般社団法人 日本老年歯科医学会. 2023.

https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/news/2023/news_230106.pdf

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