歯科衛生士と歯科助手は何が違うの?(法律のお話)

更新日:9月29日

1歯科衛生士はどんな資格?どういうお仕事?


歯科衛生士は歯科衛生士法により免許が与えられている国家資格です。

歯科衛生士の業務は「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」があります。




①歯科診療補助


歯科治療が安全・円滑に進むように診療を補助します。歯科医師のパートナーとして患者さんに安心して診療を受けていただけるように、全身状態にも配慮しながら治療のサポートを行います。


②歯科予防処置


お口の中が健康な状態を維持できるように、歯周病やむし歯を予防します。歯や歯茎の状態のチェックや、歯石の除去、歯周病や虫歯の予防のために歯に薬を塗ります。


③歯科保健指導


年齢や環境に応じた生活習慣、食生活などの指導を行い、お口の健康をサポートします。

保育所、幼稚園、小学校などで歯磨きの方法などを指導します。

また、歯科医師と連携し、在宅や施設での歯科保健医療を担当します。

介護老人保健施設などの高齢者が入所または利用する施設において、口腔ケアや食べる機能のリハビリテーションを行います。


歯科衛生士免許取得後の進路は、歯科診療所や病院の歯科口腔外科などに勤務する人だけでなく、老人福祉施設でお口のケアをする、保健所や市町村保健センターで地域の保健業務を行う、歯科衛生士学校で学校の先生になる、歯科材料など歯科関連企業で研究や開発、商品説明やセミナーを開催する方もいます。



2歯科助手はどんな資格?どういうお仕事?


歯科助手になるためには資格や免許などはありません。歯科助手という名称も法的なものではなく、医療施設調査などでは「歯科業務補助者」と記されています。


主に、医院の清掃や器具の片付け、滅菌、患者さんの誘導、受付、連絡業務などの仕事があります。



3受付業務や歯科器具の準備、バキュームなど歯科助手はできるの?




歯科医院の受付や電話や歯科材料の保管、歯科治療の準備、器具の消毒・滅菌に関しては、歯科衛生士、歯科助手共通して業務範囲です。


診療時の水や患者さんの唾液を吸うためのバキュームに関して、歯科衛生士は問題なく行えます。一方、歯科助手は「法的には一応可能とされているとしても現状のままでは不十分と思われる」という見解です。



4レントゲンの撮影は歯科衛生士や歯科助手ができるの?


レントゲン装置の準備や患者さんの位置づけ、現像(今はデジタル)に関しては歯科衛生士・歯科助手共に業務範囲として法的に問題はありません。


しかし、レントゲン装置の撮影、つまり照射ボタンを押す行為は歯科医師のみと定められていますので、歯科衛生士や歯科助手が行うことは診療放射線技師法第24条により法律違反となります。


また位置づけでも「デンタルエックス線撮影」とよばれるお口の中に小さなフィルムを入れて撮影する場合、患者さん自身にフィルムを固定してもらう場合があるのですが、その時の患者さんへの指示において歯科衛生士は可能であっても歯科助手は行うことはできません。



5歯石取りやお口の中の検査などを歯科助手が行うことはできるの?


歯科衛生士はお口の中の検査(歯周病や汚れの具合など)や歯石取り、シーラント(歯の溝に封をする)、フッ素塗布などは歯科衛生士法第2条で業務に定められています。歯科助手の場合上記の業務はお口の中を触れること自体が法律によりできません。


ただし、お口の中の状況を説明する、患者さんへのブラッシング指導などは、歯科医師の指示があれば歯科助手ができる場合があります。



6歯科衛生士、歯科助手どちらもできない業務はあるの?


むし歯を削る治療、神経を取る根の治療、麻酔の注射、歯を抜くなどの外科手術など、歯科医師の治療業務に関するものは歯科医師法第17条によって禁止されていることが多いと考えられます。しかし、詰め物の装着や磨き上げなどは歯科衛生士ができる場合があります。



7かわべ歯科ではどのような対策をしているの?


当院では歯科衛生士が診療室内の歯科衛生士業務、歯科助手は受付・滅菌と業務を分離しています。確かに歯科助手が診療室内でもできる業務はあるかと思います。しかし、このようにはっきりと仕事の線引きをすることで、歯科助手の方がうっかり衛生士業務を行ってしまったというミスを予防できますし、法律を守っているという環境の中であればスタッフが仕事に集中しやすいと考えています。極端かもしれませんが、「当たり前のことを当たり前に行う」ことが何よりも患者さんへ安心を提供するためには良い方法ではないかと信じております。


まとめ


誤解をして欲しくないのは、歯科助手は免許を持っていないから悪いということではない点です。むしろ、歯科助手の方々は歯科医院になくてはならない存在です。

実際、当院でも歯科助手さんの業務やサポートのおかげで毎日スムーズな診療ができて助かっております。


私の見解にはなりますが、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手(医院によっては技工士)が1つのチームとなってそれぞれ法律の範囲内で得意な仕事ができる環境があれば医院はより成長していくと考えています。いつも私をサポートしてくれるスタッフのメンバー達には感謝しております。


この記事を書いた人



医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


小児矯正と予防歯科から「先進の正しい医療情報を取り入れアウトプットしていく」

「お口の中の病変を原因から考える歯科医療の提案」を行っております。


参考文献


①歯科衛生士法(1948年・2014年改正)


②厚生労働省:平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況.

 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/16/


③山田隆文:日本の歯科衛生士の現状と未来 目白大学短期大学部研究紀要

56号57-70(2020年)

 The present and the future of the dental hygienists

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