開咬ってどんな歯並びなの?小児期の矯正治療方法は?(子どもの歯並びと歯科矯正の話5)

1開咬とはどんな歯並び?


開咬はオープンバイトともいわれ、上下の歯がかみあった状態で、前歯や奥歯のかみあわせ部分に隙間ができる状態です。開咬は上下の歯の間に異物がはさみこみ、歯が傾くことで部分的に上下の歯の接触が妨害されている状態です。原因は様々ですが口腔習癖(お口周りのクセ)との関連が多く、他にはアゴの異常や上下歯列アーチの形の異常、内分泌異常があげられます。

小児の歯並び異常の1つ開咬です。奥に舌が見えています。この場合矯正治療を行うことで歯並びが改善される場合があります。
前歯部の開咬 

2開咬になってしまう原因は?


開咬に関係する口腔習癖は、指しゃぶりや物しゃぶり(おしゃぶりやタオル)、爪をかむ、舌癖(ぜつへき)、唇をかむなどのクセがあります。


また口呼吸や舌小帯の異常によって舌の位置が低位になることで舌が上下の前歯と前歯の間に位置してしまい、開咬になってしまう場合があります。

(指しゃぶりとおしゃぶりについては過去のブログを参照してください)

https://www.kawabeshika.com/post/指しゃぶりとおしゃぶりはいつまでにやめたらいいの?(子どもの歯並びと歯科矯正の話2)


3舌癖とはどのようなクセ?


舌癖とは上下の歯の間に舌を押し付けるようなクセの総称です。

開咬の原因の中でも、舌癖は発生原因になるだけでなく、他の原因で開咬になった人が新たに舌癖も加わり症状を悪化させる要因になることがあります。また他のクセよりも目立ちにくく、何が悪いのかもわかりにくいため放置されやすい傾向があります。


本来、舌は上あごの前歯の裏の付け根部分にある「スポット」とよばれる丸いふくらみに舌の先がつき、舌全体が口蓋(こうがい)とよばれるお皿のような部分に上がってついている状態です。舌が上あごにおさまっていると上あごを拡大する役割をしてくれます。


スポットの位置は上あご前歯の裏の付け根部分にあります。
スポットの位置 上あご前歯の裏の付け根部分

舌は上顎前歯の口蓋側の付け根部分にある「スポット」とよばれる膨隆に舌尖がつき、舌全体が口蓋に挙上してついています。
舌の正しい位置

しかし、舌癖があると舌が本来の位置より低くなるので舌が上下前歯の間か下あごにおさまります。上下前歯の間に位置すれば舌を突出させる舌突出癖が誘発し、下顎の中に位置すれば下顎前歯が拡大されて反対咬合になりやすくなります。



低位舌。上下間に位置した状態で下顎臼歯部を上から押し傾斜させる場合もある。
上下前歯の間に位置した舌 奥歯に舌が乗っています

低位舌の1つで下顎歯列弓に入り込んだパターン。反対咬合の原因になる
下顎の歯並びの中に位置した舌


4舌癖の種類は4つ


①舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)


舌を無意識のうちに必要な運動以外の位置や方向へ運動させてしまうクセです。上下前歯との間に入るようになると開咬をつくります。


舌突出癖は舌を無意識のうちに必要な運動以外の位置や方向へ運動させてしまうクセです。上下前歯との間に入るようになると開咬という歯列不正・かみ合わせ異常をつくります。
舌突出癖 上下の前歯の間に入り込んだ状態

②弄舌癖(ろうぜつへき)


気になる歯のすき間や歯を舌で触る・動かして遊んでしまうクセです。舌をかむ・吸うもこの行為になります。


③異常嚥下癖(いじょうえんげへき・飲み込みの異常)


正しい飲み込みは上下の歯が接触し、舌が歯列の後方に位置した状態で行われますが、飲み込み時に舌が突出してしまい上下の歯と歯の間に舌が挟み込まれ上下の歯が接触しない状態で飲み込みが行われる状態です。正しい飲み込みと異常嚥下癖は筋肉の使う場所が違うため、かみ合わせや歯並び異常を起こしやすくなります。


④構音障害(こうおんしょうがい)


舌先を使う音(歯ぐき音サ行タ行ナ行など)の発音時に舌足らずに舌先を挟んでしゃべる音の誤りです。「さしすせそ」のサ行の音が「しゃしぃしゅしぇしょ」の"th"のように聞こえます。開咬の方に多くみられます。



5開咬の治療法は?(子どもの矯正の場合)


小児での矯正方法としては、まず開咬の原因について検査を行います。

例えば舌癖の場合、なぜ舌が低位にいるのかを分析していきます。今回のケースでは上のあごの口蓋という部分にに舌の入るスペースが不足していることがわかったため、上あごをバイオブロックという矯正装置で拡大をし、舌のためのスペースを確保しました。しかし、舌を上げるためには舌を上げやすい環境と、舌の筋肉の力が必要だったため、マイオブレースと併用しながら、舌を上げる習慣を邪魔する口呼吸の除去と舌の筋肉トレーニングを行っていきました。矯正開始から約1年で開咬が解消されています。

(下の写真を参照してください)


開咬治療は矯正治療の中でも難易度は高く、小児期に行うのであれば低年齢時から開始する必要があります。


開咬あり、低位舌、嚥下児の舌突出、口蓋の深さを確認
初期診断時 開咬あり 舌の位置は低位

矯正方法の1つバイオブロックは上顎のスペースを準急速拡大で拡大していき舌の挙上ができるようにします。
2ヶ月目 バイオブロックで上あごをひろげます

バイオブロック後マイオブレース とMFTを併用し、口腔周囲筋の改善を図りました。また舌突出癖の発生を抑えるために舌の正しい位置についての確認も毎回行い11ヶ月で開咬は解消されました。
11ヶ月後 開咬症状は解消 この後も矯正を継続


まとめ


①開咬は上下の歯がかみあった状態で、前歯や奥歯のかみあわせ部分に隙間ができる状態。


②開咬に関係する口腔習癖は、指しゃぶりや物しゃぶり(おしゃぶりやタオル)、爪をかむ、舌癖(ぜつへき)、唇をかむなどがある。


③舌癖とは上下の歯の間に舌を押し付けるようなクセの総称です。


④舌癖には舌突出癖・弄舌癖・異常嚥下癖・構音障害がある。


⑤小児期の開咬の矯正治療方法があるが年齢によって難易度が変わる。


この記事を書いた人



医療法人社団 統慧会 かわべ歯科 理事長 川邉滋次


今回は歯列不正の1つ開咬について取り上げてみました。お口のなかのクセは言葉だけではなかなかお伝えできないため、今回は写真を多く使用してみました。もしこの歯並びについて知りたいというリクエストがあればコメント欄やお問い合わせにお願いします。



参考文献


①John Mew 著, 日本フェイシャルオーソトロピクス研究会 訳, 北總征男 監訳,The Cause and Cure of Malocclusion 不正咬合の原因と治療. 東京臨床出版株式会社, 128-129, 2017.


②公益社団法人 日本小児歯科学会. 小児歯科学専門用語集 第2版, 医歯薬出版株式会社, 2020.


③河合 聡.口腔習癖 見逃してはいけない小児期のサイン. 医歯薬出版株式会社, 20-46, 2019.


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