マウスウォッシュはどれを選ぶ?CPC・クロルヘキシジン・エッセンシャルオイルを比較
- 歯科医師 川邉滋次

- 6月20日
- 読了時間: 13分
更新日:7月24日
▼目次
はじめに-マウスウォッシュは目的に合わせて選びましょう

ドラッグストアには、さまざまな種類のマウスウォッシュが並んでいます。
しかし、商品によって配合されている有効成分や得意とする働きが異なるため、パッケージだけを見ても、
「どれを選べばよいのか分からない」
「刺激が強い方が、殺菌効果も高いの?」
「むし歯や歯周病の予防にも役立つの?」
と迷う方も多いのではないでしょうか。
マウスウォッシュには、口臭予防に向いているもの、歯垢の付着や歯肉炎を抑えるもの、歯周病治療中や抜歯後などに歯科医師の指示で使用するものがあります。爽快感や刺激の強さだけで、効果の高さを判断することはできません。
この記事では、マウスウォッシュに使用される代表的な有効成分である「CPC」「クロルヘキシジン」「エッセンシャルオイル」の特徴と注意点を比較し、目的に合った選び方を分かりやすく解説します。
まず確認!目的別マウスウォッシュの選び方
悩み・目的 | 選ぶときに確認したい成分・タイプ |
むし歯を予防したい | フッ化物配合 |
口臭を予防したい | CPC、エッセンシャルオイル |
歯垢の付着を抑えたい | CPC、エッセンシャルオイル |
歯肉炎を予防したい | CPC、エッセンシャルオイル |
歯周病治療中・抜歯後 | 歯科医師から指示された製品 |
刺激が苦手・口が乾きやすい | ノンアルコールタイプ |
子どもに使いたい | フッ化物配合・年齢に合った製品 |
むし歯予防を目的とする場合は、殺菌成分だけでなく、フッ化物が配合されているかを確認することが重要です。一方、口臭や歯肉炎、歯垢の付着を抑える目的では、CPCやエッセンシャルオイルなどの殺菌成分が選択肢になります。
マウスウォッシュだけでは歯垢を落とせない
最初に知っておきたいのは、マウスウォッシュだけでは、歯に付着した歯垢を十分に取り除けないということです。歯垢は、細菌が集まって作る「バイオフィルム」と呼ばれる膜状の汚れです。排水口のぬめりのように歯の表面へ付着しているため、口をすすぐだけでは除去できません。
まずは、「歯ブラシ」「デンタルフロス」「歯間ブラシ」、「歯科医院でのクリーニング」などによって、歯垢を物理的に取り除くことが基本です。
マウスウォッシュは歯磨きの代わりではなく、歯磨きで清潔にした状態を保つための補助的なケア用品と考えましょう。
CPC(塩化セチルピリジニウム)の特徴
1.CPCは細菌や歯の表面に吸着する
CPCは「塩化セチルピリジニウム」の略称で、市販品から歯科専売品まで、多くのマウスウォッシュに配合されている殺菌成分です。
CPCは細菌や歯の表面にくっつきやすい性質があります。これは、CPCがプラス、細菌や歯の表面がマイナスの電気を帯びており、静電気のような力で引き寄せられるためです。そのため、細菌を殺菌するだけでなく、歯の表面への細菌の付着も抑えることができます。

CPCは細菌の細胞膜に作用して殺菌するとともに、歯の表面に細菌が付着するのを抑えます。
2. CPCに期待できる働き
CPCは、口腔内の細菌を殺菌するだけでなく、歯垢の付着や歯肉炎を予防する働きも持っています。
主に期待できる働きは次のとおりです。
口腔内の細菌を減らす
歯垢の付着を抑える
歯肉炎を予防する
口臭を予防する
比較的刺激の少ない製品も多く、毎日の口腔ケアに取り入れやすい成分です。
ただし、CPCが配合されているだけで、むし歯を十分に予防できるわけではありません。むし歯予防を重視する場合は、フッ化物が配合されている製品を選びましょう。
3.歯科専売品はCPCの働きを引き出すよう処方されている
日本の薬用洗口液に配合できるCPCの濃度は、最大0.05%と定められています。
そのため、CPC配合製品を選ぶ際は、濃度だけでなく、CPCが口腔内で働きやすい状態に保たれているかも重要です。
洗口液には、成分を安定させたり、香料などを水に溶かしたりするために、さまざまな成分が配合されています。しかし、その組み合わせによっては、CPCがほかの成分に取り込まれ、歯や細菌への吸着が弱まる可能性があります。
一部の歯科専売品では、CPCが口腔内で働きやすい状態を保つための工夫が施されています。同じ濃度のCPCを配合していても、すべての製品が同じように働くとは限りません。
CPCの働きを引き出す製品全体の設計が、歯科専売品の大きな特徴です。

さらに、歯科専売の洗口液には、CPCに加えて歯ぐきの炎症や出血を防ぐ有効成分が配合されているものがあります。
成分 | 主な役割 |
CPC(塩化セチルピリジニウム) | 歯肉炎の原因菌を殺菌し、歯垢の付着や口臭を防ぐ |
GK2(グリチルリチン酸二カリウム) | 歯ぐきの炎症を防ぐ |
TXA(トラネキサム酸) | 歯肉炎に伴う歯ぐきからの出血を防ぐ |
配合されている有効成分は製品によって異なります。また、むし歯予防を目的とする場合は、CPCだけでなく、フッ化物が配合されているかも確認しましょう。
歯科専売品の利点は、成分や処方の工夫だけではありません。歯ぐきの状態やむし歯のリスク、口の乾燥、刺激への感じ方などに合わせて、歯科医師や歯科衛生士から適切な製品と使用方法の説明を受けられることも大きなメリットです。
4.厚く付着した歯垢には届きにくい
CPCは歯や細菌の表面に吸着しやすい一方で、厚く形成されたバイオフィルムの内部までは十分に浸透しにくい性質があります。そのため、CPC配合のマウスウォッシュを使用しても、すでに歯に付着している歯垢を洗口だけで取り除くことはできません。
歯ブラシやフロス、歯間ブラシで歯垢を取り除いたうえで、CPC配合マウスウォッシュを補助的に使用しましょう。
クロルヘキシジンの特徴と注意点
クロルヘキシジンは、細菌の細胞膜に作用する殺菌成分です。
歯垢や歯肉炎を抑える効果について多くの研究がありますが、製品によって濃度や使用方法は大きく異なります。
特に、海外で研究に使用されるクロルヘキシジン洗口液(0.12~0.2%)と、日本で一般的に使用される製品では濃度や使用方法が異なるため、海外の研究結果をそのまま日本の製品に当てはめることはできません。
1.クロルヘキシジンの濃度に注意
日本では、製品によって希釈して使用するものと、そのまま使用するものがあります製品ごとに使用方法や使用回数が異なるため、必ず説明書に記載された用法・用量を守って使用してください。
「濃い方が効果が高そう」と自己判断で濃度を上げると、口腔粘膜への刺激や副作用につながる可能性があります。
2.知っておきたい副作用
クロルヘキシジンは、濃度や使用期間によって次のような副作用が起こることがあります。
歯や舌への着色
味覚の変化
口腔粘膜の刺激
歯石の沈着増加
アレルギー反応
まれではありますが、アナフィラキシーが報告されています。
使用後にじんましん、息苦しさ、唇や舌の腫れなどが現れた場合は、直ちに使用を中止し、医療機関を受診してください。
3.クロルヘキシジンの作用
海外で広く使用されている高濃度製剤では、歯や口腔粘膜に成分が吸着し、抗菌作用が約12時間持続することが報告されています。そのため、細菌数を減らし、歯ぐきの炎症改善をサポートする目的で使用されています。

4.短期間の使用が基本
クロルヘキシジンは、毎日長期間使用することを目的とした洗口液ではありません。
歯周病治療中や抜歯後など、一時的に口腔内の細菌を減らしたい場面で、歯科医師の指示のもと短期間(一般的には1~2週間程度)使用されることが多い成分です。
長期間使用すると、着色や味覚の変化などの副作用が起こりやすくなるため、自己判断で継続せず、必要な期間だけ適切に使用しましょう。
エッセンシャルオイルの特徴
エッセンシャルオイル配合のマウスウォッシュには、主に次のような成分が組み合わされています。
成分 | 特徴 |
チモール | 殺菌作用を持つ |
シネオール | 殺菌・防腐作用を持つ |
メントール | 清涼感を与える |
サリチル酸メチル | 香味成分などとして使用される |
1. 特徴はバイオフィルムへの浸透性
歯の表面に付着するプラークは、細菌がネバネバした膜に覆われた「バイオフィルム」という状態になっています。
エッセンシャルオイルには、バイオフィルムの内部へ浸透し、細菌に作用する性質があります。そのため、歯磨きなどの機械的な清掃と併用することで、プラークの付着や歯肉炎を抑える補助効果が期待できます。

ただし、マウスウォッシュだけで、すでに付着しているプラークを取り除けるわけではありません。歯ブラシやフロス、歯間ブラシによる清掃が基本です。
2.複数の精油成分が細菌に作用する
エッセンシャルオイル配合洗口液には、チモール、シネオール、メントール、サリチル酸メチルなど、複数の精油成分が組み合わされています。
これらの成分が細菌の細胞膜などに作用することで、口腔内の細菌を減らし、プラークや歯肉炎、口臭を予防します。
3.毎日の口腔ケアに取り入れやすい
エッセンシャルオイル配合洗口液は、歯磨きなどの機械的清掃と併用することで、プラークや歯肉炎を抑える効果が報告されています。
クロルヘキシジンと比べると、歯の着色や味覚への影響は起こりにくく、日常的な口腔ケアに取り入れやすいことが特徴です。
ただし、副作用がまったくないわけではありません。使用中に口の中のヒリつき、粘膜の違和感、味の変化などが現れた場合は、使用を中止しましょう。
4.刺激の強さには注意が必要
エッセンシャルオイル配合洗口液は、製品によって独特の味や強い刺激を感じることがあります。
特にアルコール配合製品は刺激を感じやすいため、口内炎がある方、口が乾きやすい方、刺激が苦手な方には適さない場合があります。
刺激が気になる場合は、ノンアルコールタイプを選びましょう。ただし、アルコールの有無だけで製品の効果が決まるわけではないため、使用目的や配合成分も確認することが大切です。
5.エッセンシャルオイルにも限界がある
エッセンシャルオイル配合洗口液は、プラークや歯肉炎、口臭の予防に役立つ補助的なケア用品です。
一方で、次のようなことはできません。
歯に付着したプラークや歯石を洗い流す
むし歯や歯周病を治療する
歯磨きやフロスの代わりになる
口臭の原因そのものをすべて取り除く
口臭や歯ぐきからの出血が続く場合は、マウスウォッシュだけで対処せず、歯科医院で原因を確認しましょう。
3種類の有効成分を比較
成分 | 主な特徴 | 向いている目的 | 注意点 |
CPC | 細菌や歯の表面に吸着する | 口臭、歯垢の付着、歯肉炎の予防 | 厚い歯垢を落とすことはできない |
クロルヘキシジン | 殺菌作用と持続性を持つ | 歯科医師の指示による専門的なケア | 濃度や使用期間に注意。着色やアレルギーの可能性がある |
エッセンシャルオイル | 複数の精油成分を組み合わせている | 歯垢、歯肉炎、口臭の予防 | アルコール配合製品は刺激が強い場合がある |
どの成分が最も優れているというわけではありません。現在のお口の中の悩みと使用目的に合わせて選ぶことが大切です。
マウスウォッシュの効果を引き出す5つのポイント
1.歯ブラシやフロスと併用する
マウスウォッシュは、付着した歯垢を落とすものではありません。歯ブラシやフロスで歯垢を除去したうえで、補助的に使用しましょう。
2.使用方法は製品の表示に従う
使用量、洗口時間、希釈の必要性は製品によって異なります。「マウスウォッシュは必ず薄めない」「必ず20~30秒使用する」と一律に考えず、製品の説明書に従ってください。
3.使用後の水すすぎも製品ごとに確認する
一般的には、使用後に水ですすがないタイプが多くあります。ただし、製品によって使用方法が異なるため、パッケージや説明書を確認しましょう。
4.フッ化物配合歯磨剤との使い方を考える
歯磨き直後にフッ化物を含まないマウスウォッシュで何度もすすぐと、歯磨剤に含まれるフッ化物を洗い流してしまう可能性があります。
むし歯予防を重視する場合は、
フッ化物配合の洗口液を選ぶ
歯磨きとマウスウォッシュの時間を分ける
就寝前はフッ化物配合歯磨剤を優先する
などの方法があります。
5.刺激や異常があれば使用を中止する
次のような症状が現れた場合は、使用を中止してください。
口の中がヒリヒリする
粘膜が赤くなる
味覚に変化を感じる
歯や舌への着色が気になる
唇や舌が腫れる
じんましんや息苦しさがある
症状が続く場合は、歯科医院または医療機関へ相談しましょう。
マウスウォッシュは毎日使っていい?
CPCやエッセンシャルオイル配合のマウスウォッシュは、毎日の口腔ケアに使用できる製品が多くあります。歯ブラシやデンタルフロスで歯垢を取り除いた後に補助的に使用することで、口臭や歯垢の付着、歯肉炎の予防に役立ちます。
一方で、クロルヘキシジン配合の洗口液は、毎日の長期使用を目的としたものではありません。 歯周病治療中や抜歯後などに、歯科医師の指示のもとで一定期間使用されることが一般的です。長期間使用すると、歯や舌の着色や味覚の変化などの副作用が起こりやすくなるためです。
どのマウスウォッシュも、使用量や回数は製品ごとに異なります。毎日使用する場合でも、必ず製品の説明書や歯科医師の指示に従いましょう。
子どもにはフッ化物配合の洗口液がおすすめ
子どものマウスウォッシュ選びでは、強い殺菌作用や爽快感よりも、むし歯予防を優先します。
そのため、子どもにはフッ化ナトリウムが配合された洗口液が選択肢になります。フッ化物には、生えたばかりの永久歯の表面を強くし、むし歯になりにくくする働きがあります。
1.何歳から使用できる?
フッ化物洗口は、洗口液を飲み込まずに「ブクブクうがい」をして、確実に吐き出せることが前提です。
一般的には4歳〜6歳が目安とされていますが、年齢だけで判断せず、最初は水で練習してから始めましょう。
2.水で薄めてもよい?
小児用のマウスウォッシュは、その濃度で最大の効果(殺菌や歯質の強化)が出るように作られています。水で薄めてしまうと、せっかくの有効成分が薄まり、期待した効果が得られなくなってしまいます。
味が苦手な場合は、お子様向けのフルーツフレーバーなど、刺激の少ない製品を選んでください
3.使用後に水ですすいでもよい?
フッ化物を歯の表面に残すため、通常は洗口後に水ですすぎません。また、使用後30分程度は飲食を控えます。
ただし、使用量や洗口時間も含め、使用する製品の説明書や歯科医院の指示を優先してください。
マウスウォッシュとデンタルリンスの違い
マウスウォッシュとは、口臭の予防や、むし歯・歯周病の発生を防ぐ効果のある「洗口液」です。似た商品に「デンタルリンス」がありますが、実は使い方が異なります。
種類 | 使用方法 |
マウスウォッシュ(洗口液) | 口に含んですすぎ、吐き出す |
デンタルリンス(液体歯磨き) | 口に含んだ後、歯ブラシで磨く |
デンタルリンスは、液体状の歯磨剤です。口をすすぐだけではなく、歯ブラシを使用する必要があります。購入するときは、パッケージに「洗口液」「液体歯磨き」のどちらと表示されているかを確認しましょう。
まとめ
マウスウォッシュは、目的に合わせて有効成分を選ぶことが大切です。
むし歯予防を重視するならフッ化物
口臭や歯垢の付着を抑えたいならCPC
歯垢や歯肉炎の予防にはエッセンシャルオイルも選択肢
クロルヘキシジンは濃度や使用目的に注意する
刺激が苦手な方はノンアルコールタイプを選ぶ
子どもは洗口液を確実に吐き出せることが使用条件
マウスウォッシュは歯磨きの代わりにはなりません。
歯ブラシ、フロス、歯間ブラシで歯垢を取り除いたうえで、補助的に使用しましょう。
口臭や歯ぐきからの出血が続く場合は、マウスウォッシュで症状を隠すのではなく、歯周病や舌苔、唾液量などの原因を歯科医院で確認することが大切です。
執筆・監修者プロフィール
かわべ歯科(静岡県菊川市)院長 歯科医師 川邉滋次
参考文献
Boyd LD, Mallonee LF. Wilkins’ Clinical Practice of the Dental Hygienist. 14th ed. Philadelphia: Wolters Kluwer; 2022.
Windhorst, Emmy Rowan, et al. "The effect of cetylpyridinium chloride compared to chlorhexidine mouthwash on scores of plaque and gingivitis: a systematic review and meta‐analyses." International Journal of Dental Hygiene 23.4; 2025: 665-681.
五味一博.歯科衛生士が知っておきたい洗口剤の応用.日歯周誌 2016;58(2):86-90.
.png)




コメント